頭の固い経営陣が足かせに。デジタル化しても紙の新聞に未来はない訳

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日本新聞協会によれば、一般紙の発行部数は2004年以降減り続け、2021年は前年比約180万部減で3000万部割れが目前となり、新聞離れが止まりません。新聞社の未来について、悲観的な見通しを示すのは、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江一石さん。中心的な読者層の高齢化に加えて、デジタル化のメリットを活かせない頭の固い経営陣の存在を理由としてあげています。

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今後、新聞社はどうなっていくのか?

Question

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今後新聞社はどうなっていくと思いますか?デジタル化シフトがうまくいけば生き残れると思いますか?また、紙の新聞についてですが、あと何年くらいもつと思いますか?

永江さんからの回答

紙の新聞はもう消滅まで秒読み段階に来ており、日経以外は地方紙から順に消えていくでしょう。デジタルシフトは古い考えを変えられない現経営陣がいる限りは難しいと思います。産経新聞もいまや全国紙ではなく地方紙。

新聞の発行部数は激減を続けており、一般紙の発行部数は2000年には約5,000万部あったのに、この20年で約3,000万部まで減っています。毎年、毎日新聞や産経新聞の全発行部数(200万部近く)が消滅しているんです。
昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 | 東洋経済オンライン

中心的な新聞読者の高齢者も80歳を超えると新聞も読まなくなるので、団塊の世代が80歳を超える5~6年後にはほぼ全滅すると言っても過言ではないでしょう。

そして、その新聞がデジタルシフトして生き残れるかというと今のままでは難しいでしょう。日経を除けば、朝日新聞が一番デジタル化を頑張っていますがうまくいかず、おそらくは微々たる有料会員数です。その原因としてどの新聞社も紙面に掲載したものをそのままインターネットに載せているだけということが挙げられます。

紙の新聞を読まない層は、時事ニュースはインターネットやアプリで無料で読めますし、新聞紙面の多くが割かれている高齢者向けの健康や介護ばかりの記事をお金を出して読もうとは思いません。

例えば、新聞って紙面の制約があるのでボツになる記事がすごく多いので(記者一人が月に書いた記事のうち数本くらいしか採用されないこともザラ)、紙面ではボツになるけど特定の読者にはニーズがあるユニークな記事をデジタルに掲載していけば良いのに、ひたすら紙紙面を前提にしたコンテンツに固執しています。

これって、新聞社の経営陣が昔からの思想を変えられないからなんです。わたしは以前、大手新聞社に呼ばれ話をしたことがありますが、上述のようにボツ記事でも良いものはデジタルに掲載したらどうかと提案したところ、上にプレゼンしたら「紙面に出ないのは出せないとそうと判断したからだ、それを出すなんてケシカラン」と一蹴されたと報告が来ました。

デジタルコンテンツなら原価もかからず紙面の制限もなく、読みたい人が読みたいものを読めるのに、そんな考えは全くなく、挙句の果てには新聞を読まないのは日本人の教養が低下しているからだと切り捨てる。これだけ大きな社会環境の変化に気づくことも変化することもできない現経営陣がいる限り、新聞は消滅していく他ないでしょう。

日経は唯一、経済人向けの独自コンテンツが充実しているので残ると思いますが(わたしもデジタル版を契約しています)、その他のネットの無料記事で事足りるニュースしか載せていない大手紙も、葬式の告示料だけで細々と食いつないでいる地方紙も、ジリ貧になり消えていくと思います。

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image by:Raihana Asral/Shutterstock.com

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