私は、先日お会いした地方のマンションの理事長を思い出しました。その地域では、マンションの資産価値は、それなりに管理されていていても、もう上がることはない…と言います。
高経年マンションで200万円はごく普通なのです。それ以下のマンションもあります。
そこで、管理組合のために頑張っている理事長が、築25年だが、いざというときに解体できるように、解体積立金を徴収することにした…と言います。今は問題なくそこにある築25年のマンションで…です。
その地域では、建替えが無理なことは誰もが分かっていて、マンションが古くなったら、土地の売却費用でも、とてもマンションの解体ができない。それを不安に思わないように、そのときのために、今から解体積立金を積み立てて、いざと言うときは、個人の負担なく更地にできる…という安心をつくっていると言います。
私は、見事な考え方だと思いました。200万円を切ったマンションでも、建替えが難しいなら、解体積立金を積み立てることも必要だと思います。
相談があったマンションは、もうかなり深刻になっている状況ですから解体積立金を積み立てるとすると、それなりに高い金額になってしますが、そこを乗り越えなければならないのです。それがなければ、安く入居できる賃貸マンションよりもお得な住まいになってしまいます。しかも、自分が亡くなったあとのことは考えません。
マンションの最後の迎え方の話も今後はしていかなければならないと思いました。人もマンションも最後は必ず来ます。
人は、最後は、あとに残る人のために何かできることをしたい…と考えるはずだと思いたいです。
マンションに思い出があれば、マンションの今後にも思いが至るはずです。だんだん住む人がいなくなって、マンションが荒れ、スラム化して、それでもそれを何ともできない…そんなマンションになってほしくはないはずです。
今後、一人暮らしの高齢者が増えます。その人たちの生き方がどういうものになるかが、マンションにとっても大事なことになると思いました。
その思いをつくっていくことも、高経年マンションの管理運営なのかな…と。
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