紙では難しい「ロングセラー」がヒント。電子書籍に“新ビジネス”の可能性

 

話はそれますが、紙の書籍と違って、電子書籍には中古市場がないのが特徴ですが、ユーティリティNFTを使えば中古市場を成立させることが可能です。書籍ひとつひとつにユニークなNFTを作って販売し、そのNFTを持っている人だけが読めるような特殊な電子書籍リーダー(アプリ)を無料で配布します。

読み終わった書籍のNFTは、市場で転売が可能ですが、その際に3割程度のロイヤリティが著作権者に渡されるように設計しておきます。読み終わった人が、書評とともにTwitter経由で簡単に転売出来るようにしておけば、そこで中古市場への導線も作られます。

人気のない書籍の中古市場での価格はゼロに近づいて行くでしょうが、多くの人が価値を認める書籍であれば、発売時と同等の価格での転売が続くだろうと思います。

お宝的な価値のあるもの、例えばアイドル歌手の限定写真集のようなものであれば、あえて発行部数を絞ることにより、希少価値を高めて、転売市場での価格が高騰する状況を作り出すことすら可能だと思います。

しかし、実際にNFTを使うと、暗号通貨のウォレットを持った人としか商売が出来ないので、バックエンドは普通のデータベースをつかったNNFT(なんちゃってNFT)を使い(アプリ内課金で購入出来るようにしておきます)、転売する際には現金ではなく、アプリ内の暗号通貨(なんちゃって暗号通貨)をもらえるようにすれば、中古市場付きの電子出版市場をモバイルアプリの中に作ることが出来ます。

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image by: Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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