「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが2016年6月に出版した『あなたの仕事はなぜ終わらないのか』は、今も地道に売れ続けているようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で中島さんは、紙だけの時代には難しかったロングセラーの要因として、電子書籍としての販売と、SNSなどでのバイラル・マーケティングの効果を上げます。そのうえで、紙市場にあって電子書籍市場にない中古市場の可能性に言及。“なんちゃってNFT”を利用することで著者も転売する人にも嬉しい場を構築できると伝えています。
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タスク管理でモチベーションを上げる方法
数年前に出版した『あなたの仕事はなぜ終わらないのか』は、ありがたいことに今だに売れ続けていますが、先日、Twitterで以下のようなフィードバックが目に止まりました。
今までは、見開き一枚の原稿のペン入れまでで1タスクだったんですけど、ラフ・下絵・ペン・背景・仕上げとか細かく分けて、終わるごとにチェック付けてく形にしたら、達成感が何回も得られて、同じ作業なのにメチャメチャ楽しくなったんだが。
なんだこれすごい😀— 長江朋美★1巻12/10発売『イケメン社長飼い始めました。』 (@tomoruru) April 12, 2022
Twitterのプロフィールによると、長江朋美さんは漫画家で、エンジニアである私が書いた書籍が、漫画家さんの仕事に役に立つとは、嬉しい限りです。
この書籍の主題は、「仕事は、スタートダッシュで早めに目処をつける」点にありますが、それなりのページ数を持つ書籍の形に仕上げるために追加した「タスクを細分化する」テクニックは、それだけで独立した書籍にする価値があるような話です(とは言え、それだけだと書籍としてはページ数が少ないので、他のことも書くことになると思います)。
鍵は、自分の目の前のタスクを出来るだけ小さなマイクロタスクに分割し、それを一つづつこなして行くことにより、達成感を得る、という部分にあります。
どのくらい時間がかかるか分からない大きなタスクが目の前にあると、その大きさに圧倒されてモチベーションが下がってしまいますが、一つあたり15分ぐらいで出来るようなマイクロタスクに分割してあれば、それがたとえ100個あろうと、階段を一歩づつ上ように、一つづつこなすことにより毎回達成感が得られるため、モチベーションが維持出来るのです。
ちなみに、Amazonには筆者向けのページ(Author Central)があり、そこで自分の書籍のランキングの推移を見ることが出来ます。下のグラフは、「あなたの仕事はなぜ終わらないか(Kindle版)」の過去6ヶ月間のランキングですが、今だに総合ベストセラーの100位に時々食い込むなど、2016年に出版した書籍とは思えない奮闘ぶりです。
紙の書籍の時代には、こんなロングセラーは簡単には生まれなかったので、やはり電子書籍Kindleのおかげであり、Twitterなどを通じたバイラル・マーケティング効果だと思います。
この書籍も、紙の時代であれば、出版社が増刷をストップし、廃版になっていただろうことを考えると、逆に、既に廃版になっていた書物の中で、時代を超えて読まれる可能性のあるもの(かつ、SNSでシェアされやすいもの)を発掘し、電子書籍として再販するというビジネスがあっても良いように思えます。
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