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700万人以上が受給できていない障害年金。貰えるのはどんな人?

日本には障害年金という制度があります。とても手厚いものですが、実はそれを受給したくてもできない人が多いのも現状。そこで今回は、メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、あまり知られていない障害年金を受け取るための条件を紹介しています。

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約930万人の障害者の人がいるけども障害年金を受けれてる人は200万人程。

65歳になるまでの間に、病気や怪我で働く事が困難になった場合は公的年金の障害年金を請求する事が出来ます。人生においてはどんなに頑健な人であっても、将来は病気や怪我をする事はないとは言えないので、万が一そのような事態になった場合は公的年金が保障してくれる事になっています。

年金というと老齢の年金というイメージですが、若い人であっても年金を貰う事がありうるわけです。

なお、障害年金を受給したい場合は病気や怪我をしたらそれで貰えるわけではなく、初診日に何の年金に加入してたか、初診日の前までに一定の年金保険料を納めていたか(免除でもいい)、障害の状態は障害年金の状態に該当しているか?などを満たす必要はあります。

これは今までも申し上げてきましたように公的年金は積立ではなく保険なので、初診日という保険事故があり、その保険事故が起きるまでに自己責任で保険料を納めて万が一に備えるという自助努力が求められるわけです。

なので、今まで年金保険料をあまり納めてなかったという人は、請求そのものが不可という事もあります。

ところで現在の公的年金受給者の中で、障害年金を受給してる人は全体の4%弱ほどです。

人数にして250万人前後の人が障害年金を受給しています。

しかしながら、厚生労働省によれば障害を持ってる人の人数が約930万人程(障害手帳交付されてる人は550万人程)なので、その中で障害年金を受給してる人はかなり少ないのではないかと思います。

これはあまり障害年金が知られていない事が原因とされていましたが、お医者さんに診断書を書いてもらえなかったとか軽く書かれた、周りの人から障害年金は貰えないよと言われたから諦めた等の事情があったりもします。

特にお医者さんはあくまで病気の治療の専門家なので、障害年金の事はよくわからないとか、そんな年金を受給させたら社会復帰を妨げるから書きたくないなどの協力的ではないお医者さんがいる事もまた事実です。

よって、障害年金を請求したい場合はお医者さんとの相性というのも大事だったりします。

障害年金はお医者さんが書いてくれる診断書でほぼほぼ決まってしまうので、お医者さんが協力的かどうかは非常に重要な要素です。

どうしても書きたがらないとか、何か偏見が強いお医者さんだと転院を考えなければならない場合も残念ながらあります。

障害年金は受給するまでに超えなければならないハードルが、老齢の年金や遺族年金よりも多いです。

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精神障害や知的障害による障害基礎年金は、数年前まで都道府県により受給しやすい受給しにくいという認定の差があった。

さて、障害年金受給してる人の傷病ではやや特徴があります。それは精神障害や知的障害で60%台を占めます。精神疾患による受給者が多いのが特徴です。

どうしても精神疾患というのは長期療養が必要な事が多いので、受給者が多くなってしまうのではないかと思います。

なお、精神疾患は他の病気と違って検査などの数値ではわからない傷病というのも特徴であります。

検査数値ではわからないので、どんな風に日常に困っているのか?という事を日ごろの治療だけでなく、お医者さんにしっかりと伝える事が大切な疾患です。

障害年金の診断書を書くのはお医者さんだけなので、いかにどういう点で困っているのかを伝えていないと、すっごく軽い状態で診断書を書かれて障害年金は不支給ですという事になりかねません。

よって、日頃の状態をお医者さんに伝えて情報を共有しておく事が大切であります。

それとこれは平成24年に判明した問題なんですが、精神障害や知的障害による障害基礎年金の認定が都道府県によってバラつきがある事が判明しました。

障害基礎年金は当時は各都道府県が認定を行っており、その都道府県の認定医が審査していました。

ところが、都道府県によって認定が厳しかったり甘かったりという事が起きていました。

例えば同じような診断書の内容なのに、大分県では24%の人は不支給となるにもかかわらず、栃木県なら不支給は4%程度だよというふうに差があったわけです。

都道府県によって厳しかったり甘かったりという事が判明したため、精神障害や知的障害の認定基準のガイドラインが設けられてそれに沿って認定を現在は行われています。

また、各都道府県で行っていた認定を東京で一括して行うようになっています。

このように、障害年金というのはやや特殊な年金がゆえに、一般的にはなかなか簡単に受給できるものではないイメージではあります^^;

とはいえ、万が一の時のために年金保険料を支払っているわけであり、その権利として障害年金を請求するわけですから、万が一の病気や怪我の時に長期治療になった時はしっかり利用したいものですよね。

というわけで今回はその障害年金と、受給金額が変わる時を考えてみましょう。

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障害厚生年金3級を受給する事になったが…

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昭和60年4月15日生まれのA夫さんは、令和4年現在は37歳です。

20歳になる平成17年4月からは学生だったために学生納付特例免除を利用して、平成20年3月まで免除でした。

平成20年4月から平成23年8月までの41ヶ月間は厚生年金に加入して働く事になりました。

この間の平均給与は37万円とします。

その在職中に耳の病気のために、病院に通う事になりました。

初診日は平成23年7月21日。

徐々に症状が悪化したため、唐突な判断で仕事を平成23年8月31日までで辞めてしまいました。

初診日から1年6ヶ月経った日(障害認定日という)には両耳の聴力レベルが70デシベル(3級のライン)ほどになっていたため、障害年金を請求する事にしました。

障害認定日の平成25年1月21日を迎えたので、ここからようやく障害年金を請求する事が可能となります。

初診日は厚生年金加入中なので、受給する年金は障害厚生年金となる。

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また、初診日という保険事故が起こる前に一定の保険料納付(もしくは免除でもいい)をしておかなければならないです。

初診日の前日において、初診日の前々月までに国民年金被保険者期間がある場合は、その3分の2以上は未納ではない事が必要。

年金の被保険者になったのは20歳になった平成17年4月からなので、初診日の前々月である平成23年5月までの74ヶ月間の間で3分の2以上(66.66%以上)は納付か免除でないといけないですね。

見てみると未納自体が無いので問題はありません。

3分の2以上を満たしていないなら、初診日の前々月までの直近1年間に未納が無ければそれでもいいです。

さて、請求する場合は障害認定日(平成25年1月21日から平成25年4月20日までの3ヶ月間の状態を書いてもらいます)時点の障害の状態を診断書に医師に書いてもらわないといけません。

その結果、障害厚生年金3級が認定されました。

・平成25年1月21日受給権発生の障害厚生年金3級→37万円×5.481÷1000×300ヶ月=608,391円(月額50,699円)

なお、障害年金は受給が決まった後も原則として1~5年間隔で診断書を書いてもらって提出しなければいけない。
定期的に診断書を出す事で障害の状態を確認するためです。

その更新の診断書は誕生月に送られてきますので、A夫さんは4月更新ですね。

障害が悪化していれば上位等級にしたり、回復していれば下の等級に落ちる事もあります。

3級が認定されて以来、A夫さんはその金額の障害厚生年金を貰い続けていますが、今後も症状が悪化する可能性があるのでその時はどうなるのでしょうか。

(メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2022年4月27日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【月額】 ¥770/月(税込) 初月有料 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

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