「秘密が何か」は国家が決める。経済安保法が“危険な軍事法”であるワケ

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5月11日、経済安全保障推進法いわゆる「経済安保法」が成立。国民生活や経済活動に支障が生じないよう備えておくために必要な法律とされる一方で、国に新たな権限が与えられ、企業の自由な活動を制限する側面に懸念の声があります。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で評論家の佐高信さんは、この法律を政治が経済を統制下に置く“政権維持法”と批判。自民党の中でもアメリカべったりではない宏池会の岸田政権が成立させたことも大きな問題と指摘し、その危険性を暴く集会の開催を伝えています。

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経済安保法は短絡的な政権維持法

安倍晋三、麻生太郎、甘利明の、いわゆる3Aを「スリーアホ」と喝破したのは亀井静香である。

そのアホの1人の甘利が推進しているのが経済安保法案だというだけで、その危険性がわかるだろう。経済と名付けているが、これは政治が経済を統制下に置く“政権維持法”である。

アメリカに従って中国を敵視する法律であり、経済の発展を妨げる。企業の活動に政府がいちいち口出しするわけで、いつも、よけいなアラームが鳴るので、技術革新等の萎縮を招く。甘利、アラーム、アメリカと並べば、経済安保はまさにアホーな3A法なのである。

5月19日(木)午後6時から参議院議員会館で、弁護士の海渡雄一、ジャーナリストの青木理と共にその危険性を暴く集会を開くが、私は案内文を次のように書いた。

「中国やロシアを敵視する経済安保法は、いのちの安全保障に反する軍事法です。何が秘密かを国家が決めるという意味で、沖縄密約の西山事件を想起させるものであり、戦争のために電力を統制した電力の国家管理法をも連想させます。 すでに2020年に中小企業の大川原化工機の社長らが軍事転用が可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したという無実の罪を着せられて、突然、警視庁公安部に逮捕され、11カ月も勾留されました。これは経済安保法が何をもたらすかを雄弁に物語っています。その危険性を徹底的に明らかにしたと思います」

大川原化工機の事件は、東京地検が起訴した後、初公判の4日前に検察が起訴を取り消すという異例中の異例の結果を招いた。それほど「強引で偏見に満ちた見込み捜査」だったということだろう。この顛末は青木が『世界』の3月号に書いている。

それで、大川原化工機の社長にも出てもらいたいと思って電話したら、「政治的な集会には」と断られた。逮捕が政治的なものなのに、これだけひどい目に遭っても、まだ、スリーアホたちに望みをつないでいるということだろうか。残念ながら、衆議院では、れいわと共産党だけが反対し、立憲民主党も賛成して、この法案が通ってしまった。

参議院で審議中だが、宏池会の岸田(文雄)政権がこれを成立させようとしていることが大問題である。安倍の大叔父の佐藤栄作は、アメリカに追随して台湾にこだわり、沖縄返還でも基地の自由使用まで認めた。まさに売国と言うしかない。それに対して、田中角栄と組んで中国との国交回復を成し遂げたのが宏池会の大平正芳だった。

創設者の池田勇人以来、宏池会はアメリカべったりではないのである。岸田が尊敬しているらしい宮澤喜一もこんなバカな法案は推進しないだろう。まったく宏池会の精神、思想に反することを岸田はやっている。大平も宮澤も眠れないほど嘆いているだろう。

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image by:Sean Pavone/Shutterstock.com

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