2)憲法の上に「人間の固有の権利」がある
憲法制定の時に「国際紛争を解決する手段としては」という一文を入れたのは、「いかに憲法と言えども、人間固有の権利(国を守り命を守る)は禁止することはできない。たとえ条文を作っても意味をなさないからである。つまり、憲法で「国を守ってはいけない」と記載しても、それは法律として意味を持たないということである。
3)不平等な状態はそれ自体が国際法違反である
日本がまったく軍備を持っていない場合、他国が日本を攻めることは国際法上、許されるだろうか?この問題はまだ議論不足であるが、憲法前文にあるように「諸外国の平和に対する考えを尊重して」というのが有効なら、日本は外交的に「丸腰の国は責めることはできない」という論を展開するべきである。
このように基本的には日本軍で日本を防衛することはなんら問題はないが、現在は現実的に二つの課題がある。
1.アメリカ軍が駐留していて、自衛隊の軍事力も世界第5位であること
日本がいくら外国に向かって「平和憲法を守る」と言っても、日本には常時、アメリカ軍が駐留し、現実にベトナム戦争の時には巨大な基地として活動した。また自衛隊も言葉を自衛隊と言っているだけでその軍事力は世界第5位である。だから、日本は世界で1、2を争う軍事大国である。
2.核武装していないと言っても、ロケット技術と大量のプルトニウムを持っている
日本は人工衛星の打ち上げの成功率で世界のトップであるし、原発を50基あまり運転していたので大量のプルトニウムを持っているし、濃縮設備と再処理設備を有しているので、常に原爆を準備することができる。単に「準備をしない」という意志だけで核武装していないといっても無理がある。
つまり、今の状態は「日本の中だけで平和、国外には軍事力」という状態であり、このような二枚舌はむしろ危険であり、その証拠が北朝鮮の拉致問題で自衛隊が出動できないという事実であった。(メルマガ『「武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実」』』2022年5月18日号より一部抜粋)
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