日本人が理解できない、北欧2国のNATO加盟申請が誤りである理由

 

こうした過去の歴史における経験があるから両国はNATOへの加盟へ舵を切ったと言えるかといえば、まずスウェーデンは該当しませんね。そもそも当時スウェーデンは欧州の強国であり、ロシアのような弱小国家が対抗できるような国ではありませんでした。

フィンランドはと言えば、確かに数十年前の話であり、これは十分関係ありうると考えられるかと言えば、ロシアと直接国境は接していますが、ドイツがロシアを攻撃しようとしているわけでもなく、他の旧東側の諸国にしても同様であり、当時とは、当然のことながら状況が全く違います。したがって、軍事的に備えることは当然としても、歴史的経緯、経験を踏まえて、あえてNATOに加盟ということにはならないでしょう。

そもそも、集団安全保障に参加する理由として非参加の他国による脅威や武力攻撃の可能性を挙げましたが、現状ではロシアからフィンランドへの武力攻撃の可能性は極めて低いと言っていいでしょう。

逆に、NATOに加盟することで、自分たちはロシアを脅威だと思っています、武力攻撃を懸念しています、はっきり言えばロシアは敵国ですと表明するに等しくなり、かえって両国の置かれた安全保障上の状況を悪くしてしまうのではないかということが懸念されます。

要するに、スウェーデン、フィンランド両国の判断は誤りではないのか、ということです。

しかし、多くの日本人はこれが理解できない人と思うので、最後に集団安全保障をめぐる「不都合な真実」に触れておきましょう……(メルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』2022年5月19日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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昭和47年静岡県生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修了(法学修士)。総務省、株式会社三井物産戦略研究所、デロイトトーマツコンサルティング合同会社、みんなの党代表(当時)渡辺喜美衆議院議員政策担当秘書、外資系コンサルティング会社等を経て、室伏政策研究室代表 政策コンサルタントとして独立。政・財・官の全てを経験した立場から、国会議員、地方議員の政策アドバイザーや民間企業向けの政策の企画・立案の支援、講演活動(自民党議連「日本の未来を考える勉強会」、三橋経済塾、政経懇話会等)、東京MX「モーニングCROSS」、インターネットテレビ「チャンネル桜」他、報道・情報番組において政治・政策関連のメディア活動にも従事。

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