そのうえで、そこから積み出して日本に石油が到着するまで約90日かかるということも皆さんはご存じでしょうか。
つまり、日本の石油というのは、原油の場合は現在の90日前の相場(厳密には通常は取引日の前3カ月の平均ということになるので6カ月前から4カ月前までの相場の平均ありますが)で取引しています。
そして軽油などは、同様にシンガポールの90日前の相場で取引しているということになるのです。
しかし、なぜか日本のガソリン価格は、現在の相場に左右されており、また、その現在の相場に連動しているのです。
そして、そのようになって「史上最高値」という異様なエネルギー価格の高騰を招きながら、結局「石油商社」などが史上最高益を挙げるということになります。
値段が高くなっているので売り上げが高くなるということはなんとなく理解できますが、なぜ利益が上がるのでしょうか。
これは不思議な現象です。
それなのに、日本国民は何も文句を言わないのです。
さて、自分たちの経済の基盤である資源が、どこからきて、どのようなところを通って来るのかわかっていないというのは、ある意味で致命傷です。
外交や政治は関係がない、産油国の情勢やその途中の国々の状況が全く見えていない。
それでいながら、経済的なことばかり話をしているというような状況で、知らないにもかかわらず身勝手なことを言って、守ってもらえると思っている。
政府を批判しながら、そのまま何かがあればその批判した政府に守ってもらえると思っているということがおかしいのです。
シーレーンの途中の国、例えばスリランカが国債を払えずにデフォルトしていることや、インド洋が中東・インド・中国などでかなり危険な状況になっているということなどは全く日本人はわかっていないのです。
マラッカ海峡の海賊の事も、また南シナ海における中国の覇権主義の問題によって軍事演習が絶えない状態にあっているということ、そのような中を通らないと日本の資源は、いや、石油は確保できないでいるのです。
(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2022年5月23日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)
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