日本にとって大損失。安倍元首相の死が「闇に葬ってしまった」モノ

 

それから、俗に言えばスキャンダルということになりますけれど、モリ・カケ問題から「桜を見る会」の問題、さらには広島の参院選の例の1.5億円の件。こういう事柄から、例えば公務員の姿勢の問題とか政治家による私物化の問題であるとか、まさに制度的にも解決していく必要のある問題が山のように出てきている。これは安倍さんだからということではないかもしれません。でも、これからそうした問題を捉え返して我々の社会に生かしていく、その上ではいてもらわなければ困る人だったのだと思います。その意味で大変残念なことになってしまったなという気がしております。

背後関係とか、事件の、その辺のことというのは全然分かりませんし、ようやく容疑者、犯人の自宅に家宅捜査が入って、何か爆発物が見つかったという情報が出てきていますけれど、時に銃、これ、殺傷力のある銃を自分で作っていた可能性が高いですね。それから、前日の夕方にやっと安倍さんが奈良で演説をするということが決まったというのに、彼はなぜそのことを知っていたのかという問題もある。本当に一人でやったことなのかということにもなる。

それと、テレビで盛んに、そういう時代ですよね、安倍さんが来れば大勢の人がスマホをかざして映像を撮るわけですよね。その映像の中には犯人の男性が大股で安倍さんの方に近づいて、まず、一回撃つ。そのときに煙がバーッと出るんですよね。あれは犯人にとって失敗だったのか。そのとき安倍さんは倒れていなくて、何事もないかのように、つまり弾はまだ弾が当たっていない段階なんですね。で、そのあと、容疑者がさらに近づいたのか遠ざかったのか、2発目を打ってこれが安倍さんの命を奪うわけですね。

あれみたときに、多分そういう方は他にもいらっしゃると思うのですが、95年、オウム真理教のサリン事件の少し後に、国松孝次さんという当時の警察庁長官が自宅を出るときに拳銃で撃たれて瀕死の重傷を負わされた事件。幸い、国松さんは死なずに済んで、その後、スイス大使か何かになられたりしましたが、この事件の時に犯人は拳銃で4発撃っているんですけど、1発目はわざと外すんですよ。なぜかというと、銃声を聞くと、人間は反射的に身体の動きを止める。何があったのかということで回りを見ようとするときに身体の動きは止まるんですよね。で、国松さんの時の犯人、誰が犯人かまだ分かっていないのですが、警察が変な公表をして、時効の時にね、オウム真理教の後継団体に訴えられたりしているわけですが、犯人は1発目を計画的に外して、2発目3発目4発目と3発の銃弾を国松さんの身体に命中させている。今回、そういうやり方を狙ったのだとしたら…。

今度のは偶然かもしれないですけれど、1発目で煙が出て大きな音がしたときに、それを見て安倍さんはもちろんそうですけれど、周りの人の動きが止まる。すると安倍さんを狙いやすくなる。それを狙ったのか、単なる偶然なのか分かりませんが。何しろ、改造の大型拳銃のようなものですから、なんか病院の医師が会見で話していることを聞いて驚きましたが、銃弾は人間の身体の中に入ると複雑な動き方をするのだそうですね。首の前から2つの銃弾が入った跡があり、それが肩の方に動いていき、心臓に穴を開ける、それが致命傷になったということだそうです。まあ、色々な意味で謎だらけの事件です。

そういうものが起きてしまい、亡くなってすぐにこれから何が起こるのかと想像するのも不謹慎かもしれませんが、日本の政治状況に大きな影響を与えるでしょうね。特に投票の前々日ということがありますから、例えば自民党の支持者で、投票に行くか行かないか、今回行かなくても良いだろうと考えていた人たちが、いわば弔い合戦の意味合いで大勢投票所に向かう。これは別に悪いことではなく、投票率が上がるわけですから。自民党はその結果、圧勝するのではないでしょうか。

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