50年前、住民の一致団結で劇的に生存した「シル島の奇跡」が再現された。丹陽郡は7月21日、丹陽邑文化体育センターでキム・ムングン郡長、チョ・ソンリョン郡議会議長などが見守る中、シル島模型水タンク生存実験を行った。
この日の実験には丹陽中学校の1・3年生200人が参加した。生徒たちは直径5メートル、高さ30センチの模型水タンクに順に上がった。
50年前、シル島で水タンクに乗って生存した197番目の学生が模型水タンクの上に上がると、文化体育センターでは嘆声が続いた。学生たちは腕組みをするなど最大限密着して目標にしていた3分(180秒。50年前の現場は14時間を持ちこたえたものだから比較にはならないけれど…)を水タンクの上で持ちこたえた。
直径5メートルの大きさの水タンクが197人の命を救える避難所になったのか、一部で疑問が提起されていたが、今回の実験を通じて、シル島の奇跡が事実であることが立証された。
実験場面を見守ったシル島生存者のキム・ウンジャさん(66)は、「水タンクを降りると全く違う世の中になっていた」とし、「真っ黒な水の海の中でどう生きていたのか今思っても涙が出る」と回想した。
丹陽郡は来月19日、丹陽駅広場で生存住民60人余りが参加する中、「1972.8.19シル島、英雄たちの話」という名前でシル島の奇跡50周年記念行事を開く。
シル島写真展、詩画展、ドキュメンタリー公演、インスタレーション(ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術)、作文大会など多様なプログラムが行われる予定だ。
丹陽郡のキム・ムングン郡守は「シル島の住民たちが見せてくれた団結と犠牲精神を丹陽の精神として継承し、丹陽を知らせる大切な歴史資源に発展させていきたい」と述べた。
現在、シル島が俯瞰できる忠清北道丹陽郡赤城面南漢江水辺公園には、50年前の「シル島の奇跡」当時、子供を失った母親を形象化した造形物が設置されている。
膝立ちの姿で赤子を胸に抱く母親の像である。この母親が現在も生存しているのか、名前は何かなどは伝えられていない。
それにしても、水タンクの上で14時間も耐えたとは。すぐそばはおどろおどろしい黒い水がうなりをあげる激流だ。びっしりと手をつなぎ体をよせあって14時間を持ちこたえる。人間業ではないように思う。大いなる存在の助けがあったのだろう。
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