ロシア政府が経済統計を公表しなくなった!
もう一つ、「ロシア経済は相当ヤバイのだろうな」と感じたできごとがあります。それは、ロシア政府が、「経済統計を公表しなくなったこと」です。
4月14日付のLENTA.RUは、ロシアエネルギー省が、原油生産と輸出量の統計公表を止めたことを報じています。
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https://lenta.ru/news/2022/04/14/sekret/?ysclid=l6sxnrfbnu207965133
4月19日付のRBCによると、ロシア中央銀行は、対外債務データの公表をストップしました。
● Россия засекретила данные о добыче и экспорте нефти
4月21日のRBCは、ロシア税関が、輸出入統計の公表を止めることを報じてい
ました。
● ФТС временно приостановит публикацию статистики по импорту и экспорту
5月12日付RBCによると、ロシア連邦航空輸送局が、航空輸送に関する情報公開を停止しました。
● Росавиация приостановила публикацию сведений об авиаперевозках
6月14日のRBCは、ロシア財務省が、支出の詳細を公開しなくなったことを報じています。
● Минфин в связи с санкциями засекретил расходы бюджета по направлениям
問題は、「なぜロシア政府は、経済統計の情報を公開しなくなったのか?」です。もしプーチンがいうように、「制裁の影響はほとんどない」のであれば、逆にどんどん情報を公開し、そのことを数字で証明するでしょう。
しかし、ロシア政府は逆に、経済情報に関するデータを公開しなくなっている。つまり、「公開すると、ロシア経済の苦しい実態が国際社会にバレてしまうので公開できない」ということなのでしょう。こんなところからも、「制裁は効いていない」というのが、「ただの強がり」であることがわかるのです。
私は、ロシアがウクライナに侵攻する前から、「侵攻すれば、ロシアの戦略的敗北は不可避だ」と書きつづけてきました。意味は、「ロシアはウクライナとの戦闘に勝つかもしれないし、負けるかもしれない。たとえ戦闘に勝っても、地獄の制裁はつづいていく。それで、ロシア経済は壊滅的打撃を受ける。それを戦略的敗北とよぶ」ということです。
結局、事態は予想通りの結末にむかっているようです。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年8月14日号より一部抜粋)
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