韓国市民の熱狂も今は昔。尹大統領の支持率が下落し続けている理由

kp20220818
 

迷走を重ねるだけの文在寅政権に大きな不満を抱いていた韓国市民により、熱狂をもって迎えられた尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領。しかしその支持率は低迷し、ついには20%台を記録するに至っています。何がこのような惨状を招いたのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、その理由を鋭く指摘した韓国有力紙のコラムを翻訳し紹介。そこから見えてくるのは、検察出身で政治を知らない尹大統領が抱える「根本的な問題」でした。

尹錫悦は変化せねばならぬ

メルマガ筆者の好きなコラムニスト「金大中」氏が朝鮮日報にアップしたコラム。期待した尹錫悦(ユン・ソンニョル)がどうも思うようになっていないことを憂慮しこうしてゆかねばならぬとアドバイスをしている。ご紹介したい。

今年3月の大統領選挙の時、実は国民は尹錫悦という人をよく知らなかった。検事一筋でやってきて検事総長まで出世した人であり、法を破れば現職の誰をも、甚だしくは大統領さえも法の裁きにかける法治主義者だと思っていた。そのような人なら「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏に勝てると見て彼を選んだ。そして彼が文在寅政権5年を「清掃」することを願った。それが当時の尹錫悦当選の出発点だった。

そのように彼が当選して3か月が経ってみると、今や国民の目に尹錫悦の「問題」が見え始めたのだろうか。世論の支持率は下降曲線を描いている。彼の問題はどんなものか。

第一に、尹大統領は「検事たちのほかにはよく知っている人があまりいない。当然だ。政党人や国会議員のように対人接触が多かったはずがない。彼が相手にしたのは主に犯罪者だった。彼は「検察以外には組織がない。政治組織は他の組織と根本的な性格と利害関係に大いに違いがある。政治組織は本来「権力をやり取りすること」であり、その取引を通じて人脈を形成するものだ。

尹大統領は政治を知らない。むしろ既成政治を軽蔑してきた人と見なければならない。そのため、政治組織、すなわち政党に対する信頼もない。昔から検察の周辺では「政治は詐欺師たちがするもの」という見解が大手を振って闊歩していた。尹大統領が党内選挙初期に「国民の力」入党を憚ったのも、彼の政党観とも関係があり、今日、李俊錫(イ・ジュンソク)前党代表が大統領を公に攻撃するようになったのも、彼の人脈乱脈ぶりと無関係ではない。

だから彼に広く人材を起用できる人的資源の情報があるはずがなく、あったとしてもその幅は広くない。少しつっけんどんに言えば、尹大統領は「知り合いが検察出身しかいないか、あるいは彼らが託す請託性人脈の範囲を越えることはできない。しかも、文政権が打ち込んでおいた「はめ込み人事(=文政権の息のかかった人を要所要所に配置した)」のため、人事を進める余地がない。公企業と国策研究機関368か所のうち、長が退いたところは5~6か所に過ぎない。大統領とは名ばかりで、実際には「文在寅シーズン2」のアバターに過ぎない。

尹大統領は頑固な人だという。彼はそれを信念や所信だと勘違いしているようだ。彼は多くの人または反対者が意見の食い違いを出したり反対しても、あまり受け入れないようだ。執務室移転、記者たちとの即席問答、旧態依然の庶民風交流や接触などで、尹大統領は時に「不通」に映るほど一度始めたことは後退しないような行動を見せている。

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