金正恩はコロナ禍を政治的に利用した。10日のコロナウイルス感染症への勝利宣言した会議で、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が、「防疫戦争の日々、高熱にひどく悩まされながらも、自身が最後まで責任を負わなければならない人民のことを考えて一瞬も横になれなかった」と金正恩をたたえたのである。
韓国のメディアは金与正の発言は、「金正恩が感染したり、感染した住民のような苦痛を経験したしたと意図的に示す」狙いがあるとする専門家の見方を伝えたが、実際はどうであったのか。
金正恩が熱を出した時期や熱が新型コロナ感染によるものかには自ら言及しなかったが、常に人民のことを思っている金正恩が「住民に苦痛経験を誇示」することによって、さらなる忠誠心と畏敬の念をもたらすことを狙っての発言であった。
金正恩は、党幹部を集めた防疫対策会議に自らマスクを着用して登場したり、深夜と思われる時間帯に会議を開く光景を全住民が視聴できる朝鮮中央テレビで放映し、自らの“献身的イメージ”を植え付けようとしたり、ともかく、コロナ禍を政治的に利用した名指導者役を演じた。
金与正副部長は、「新型コロナが韓国から脱北者団体が飛ばす体制批判のビラなどで流入した」と主張し、「強力な報復」を検討していると警告したが、命からがらに韓国に脱北した人たちが、金王朝打倒を叫んでも、人民にコロナ感染を媒体するようなことは考えられない。
この非科学的な発言に韓国の統一相は、11日に「北朝鮮が新型コロナの流入経路に関して無理な主張を繰り返し、無礼で威嚇的な発言をした」と批判し、「強い遺憾」を表明したが、前の文在寅(ムン・ジェイン)政権より強い態度で北朝鮮に対処するようになったことは評価されるだろう。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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