「核の脅し」も通じず。プーチンは戦争資源の欠乏間近で敗戦が確定へ

 

カホフカ橋は数度の砲撃を行っているが、26日の攻撃で大型トラックの通行ができくなったが、アントノフスキー橋は数度の攻撃でも補修して、大型トラックの通行ができるようになったので、25日も砲撃を受けている。この状況は確認できないが、近くに船橋も建設し始め、1/3程度はできているようだ。ロ軍も補給の確保を優先的に構築している。

このため、ヘルソン州中北部への補給ができないように、ウ軍はインフレット川のダリフカ橋を攻撃して、通行不能にもしている。ここも数度の攻撃と補修、近くに船橋建設を繰り返している。

ドニエプル川西岸地域のロ軍30BTGの1万8,000名分の補給が、ロ軍も戦争の勝敗を分けるとみているので、橋を破壊されても何度も復旧するようである。

宇ゼレンスキー大統領は23日、ロシアが2014年に併合したクリミア半島の返還を目指す外交枠組み「クリミア・プラットフォーム」の国際会議で、「ウクライナが決めた方法」でクリミアを奪還すると表明し、「われわれに停戦の用意はない」とも明言し、紛争解決は一段と困難になった。だが、ウ軍の攻撃もあまりなく、ロ軍の大きな攻撃もないような状態が続いている。

この会議で、エルドアン大統領は国際法に従ってクリミアをウクライナに返還すべきであると発言した。トルコもとうとうロシアが戦争に負けると見切り、ウクライナに味方するNATOの方針に従うことにしたようである。クリミアのタタール人組織がパルチザン活動を行っていることとも連動している。

エルドアン大統領は、カザフスタンなどの中央アジア諸国の大統領とも頻繁に会っているので、トルコがロシアに代わり、この地域の覇権を狙っているのかもしれない。世界がロシア後の秩序をどうするかで動き始めたようだ。

しかし、ウ軍の攻撃もあまりない理由を、レズニコフ国防相はヘルソン州奪還でも、正面からの猛攻撃はせず、パルチザン活動を中心にキーウ防衛戦と同じような作戦をすると述べている。今までにウ軍でも9,000名の戦死者がいると明らかにして、その戦死者数を少なくすることを優先するのであろうが、もう1つに、ポーランドからの923両の戦車PT-91がまだ届いていないからであろう。

そのポーランドでは、ポズナンの陸軍訓練センターでPT-91と交代するM1A2エイブラムスの訓練が行われている。この訓練が終了した段階で、ポーランド保有の全PT-91をウクライナに供与するが、まだ、供与されていない。

このため、今はロ軍の弾薬庫や司令部などの破壊を中心に、パルチザン活動などで、ロ軍に対処して時間を稼ぐようである。

そして、ザポリージャ原発では、送電が一時停止する事態が起きて、予備電源に頼る事態が起きた。使用済み核燃料の貯蔵プールや原子炉の冷却に不可欠な電源供給がなくなると、ウラン燃料が溶解して、大量の放射線を出すことになる。東京電力福島第1原発事故と同じことになる。

このため、IAEAは数日中に派遣団を率いてザポリージャ原発を訪れる考えであるが、ロシアはOKするのであろうか?

この状況で、米国防総省は23日、ウクライナ軍に対する30億ドル(約4,100億円)の過去最大規模の追加の軍事支援を公表した。ドイツのショルツ首相もウクライナに防空システムIris-Tをはじめ5億ユーロ以上相当の武器供与を発表し、英国の次期首相候補のトラス女史は、「ロシアの核使用には英国の核使用も適時に判断する」などもあり、ウ軍の装備や後ろ盾は充実してくる。

ロシアは核の脅しもできないことになる。本当に使用するなら、突然行うしかない。その時は報復も覚悟する必要になる。

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