ロシアは、北朝鮮軍の参戦を期待したが、22日から米韓合同演習を行い、約4年ぶりに野外での機動訓練も実施した。これにより、北朝鮮軍の砲兵をウクライナには送れないようである。勿論、ロシア支配地の瓦礫整理や復興事業には労働者を送れるが、北朝鮮軍の派遣は難しくなったようだ。
ロ軍は、開戦から6カ月で火砲の59%と装甲車の24-50%を失い、10月か11月には火砲がなくなると予測できる。
また、ロシアは、欧州のロシア制裁に対抗して、天然ガス供給を絞っているが、産出した天然ガスが他国に売れずに余っているため、大量に天然ガスを燃やている。その額が1日1,000万ドルである。
欧州はアゼルバイジャンから通常の2倍以上の契約を結び、ロシア産天然ガスの供給停止に備える方向である。それでも天然ガスの不足で今年の冬は大変になる。
このため、プーチンは、冬までに、天然ガス供給を絞ると欧州が、ウクライナでの停戦をウクライナに要求することを期待している。しかし、宇ゼレンスキー大統領は、「われわれに停戦の用意はない」とも明言。このため、ロシアの戦争資源が完全になくなり、ロ軍が自主的にウクライナから撤退するまで、この戦争は続くことになる。
この厳しい戦争状況で、ロシア国内ではプーチンに一気に宣戦布告と総動員令発令まで踏み切らせたい極右の国家主義者イゴール・ガーキン氏などがいて、9月11日の統一地方選挙などで、左右からのプーチン政権批判が出る可能性もある。
もう1つとして、反戦勢力のNRAが、ドーギン氏の娘を爆死させたと声明を出した。反戦運動はロシア国内でのゲリラ活動を強化しているようで、カリーニングランドでもテロ攻撃をしたとロシア政府は言っている。
この総動員令をしないとの批判をかわすために、プーチンは、ロシア軍の定員を14万人増にするとした。ロシア軍総員を190万人から204万人にした。軍人では101万人から115万人にした。しかし、これでウクライナの戦況が変わるとも思えない。
東中欧諸国は、中国がロシアを支援するので、中国を敵と認識して、中国離れを起こしている。このため、「中欧班列」の貨物列車も運行できなくなり、中国が一帯一路構想の一環として、中国と東欧との経済連携である「17+1」から、昨年5月に離脱したリトアニアと今回エストニアとラトビアが離脱した。そして、スロバキアも抜ける可能性が浮上している。
少なくとも、戦争でロシアの勝利がなくなり、ロシアとウクライナの仲介をしていたトルコが、ロシアを見切り、ロシアと仲介できるのは中国しかないが、世界秩序の変化が大きくなってきたことで、中国も迷いが出ている。
中国経済は、欧州と米国への輸出がないと成り立たない。ロシア市場で独壇場でも、米国と欧州市場より小さいので、欧米市場を捨てるわけにはいかない。
もう1つ、米国上場の中国企業の上場廃止になると、企業の存立にも関わり、今の不動産バブル崩壊で金融市場の混乱の上にNY上場企業の破綻になると、中国経済は大きく崩れることになるので、それもできない。
このため、上場基準を満たす合意を中国は米国と協議して、合意に達した。この裏では、米国の要求を中国が受け入れた可能性がある。私は、ロシアへの技術先端品の輸出禁止であり、この他の条件は何かはわからないが、そのうちにわかるはずである。
というように、ロシア敗戦の前提で、どう世界秩序が構成されるのかが、見どころである。一番、中国の立ち位置が問題になる。
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ









