韓国BTS事務所HYBEに焦り。次の世界的グループは日本から生み出すしかない深刻な裏事情

2022.09.01
by たいらひとし
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最年長のメンバーJIN(29)が兵役を控え、事実上の活動停止状態となっている韓国の人気ボーイズグループ、BTS(防弾少年団)。日本の時事通信社は8月31日、韓国の李鐘燮国防相が、韓国の国会審議でBTSメンバーの兵役義務の免除を認めるか判断するために「世論調査を実施する」と発表したと報じている。一方、BTSの所属事務所HYBE(ハイブ)の日本法人HYBE JAPANは「第2のBTS発掘」と称して、大規模な公開オーディションを開催しているという。BTSがグループ存続の危機に立たされている今、世界で活躍するアーティストを擁するレーベルを傘下に置くHYBEの狙いはどこにあるのだろうか?

日本で「第2のBTS」を発掘。HYBE JAPAN“真の狙い”は?

8月31日のNHK「クローズアップ現代」では、「ジャニーズそしてBTS アイドル新潮流の舞台裏」と題して、関ジャニ∞のメンバーとしてアイドル活動をしながら「なにわ男子」のプロデュースに取り組む大倉忠義(37)と共に、日本から新たなボーイズグループをデビューさせようとしているHYBE JAPANのCEOハン・ヒョンロック氏に迫った。

HYBE JAPANは「第2のBTSを発掘」と称して、グローバルボーイグループ オーディション番組「&AUDITION」を公開。あらかじめ韓国で選抜されてデビューが決定している4人のメンバーに加え、日本で選ばれた11人の練習生がしのぎを削り、最終的に5人に絞られるという。

その模様は「&AUDITION-The Howling-」としてHuluで世界配信されている。9月3日はいよいよそのFINAL ROUNDとなり、メンバー決定の様子は生中継される。

ハンCEOは同番組で、「日本発」という形でグループを結成する理由をこう語っていた。

「日本はアメリカに継いで2番目の市場であり、昔からアイドル産業に対して非常に成熟した環境を持っているから」

日本には「ファンクラブ」というシステムがあり、事務所は有料で会員を集めて運営費を捻出し、ファンは入会することでさまざまな特典を享受する。他国ではファン同士が立ち上げたコミュニティこそあるものの、日本のような「ファンクラブ」は珍しいという。

ハンCEOの発言からは、日本のエンタメビジネスのいいところを吸収しようとする貪欲さが垣間見えた。

しかし、HYBE JAPANの「本当の狙い」はもっと別のところにあるのではないだろうか?と疑問が湧いてくる。

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徴兵制が続く限り終わらない「アイドル兵役問題」

BTSだけに限らず、K-POPのボーイズグループを悩ましているのが、韓国特有の「徴兵制度」だ。韓国では、19歳の時に行われる兵役判定で、免除対象になった者以外は約2年間の兵役が課せられ、20歳から28歳の誕生日までに入隊しなければならないことになっている。

しかし、2020年10月にいわゆる「BTS法」が制定され、メンバー最年長のJINは2年間の猶予が与えられた。その猶予期間中の2年で可決が急がれていたのが「BTS兵役特例法」だった。

それまで、徴兵制が免除されるのは、オリンピックのメダリストやクラッシックの世界的コンテストの優勝者、韓国の伝統芸能の従事者のみとされてきた。

その枠を、BTSのような大衆文化芸能人にまで広げるために「特例枠」の改正が急がれたのだが、「芸能人だからって特別扱いしていいのか!」と、兵役義務のある男性やその家族から強い反発があり、韓国国内の議論は平行線をたどっていたのである。

兵役特例法の改正は、文在寅政権下では実現せず、新大統領の尹錫悦政権に持ち越された。

さらに、HYBEのイ・ジンヒョンCCOが発した法律の改正を急かす発言が、かえって改正反対派の反感を買って大炎上し、改正は絶望的に。

そこから、JINは兵役を覚悟して、あの6月14日の休止発表へと繋がったと言われている。

8月31日に李国防相が「BTSの兵役に関する世論調査を行う」と発表したときにも、「朝鮮日報」では一部韓国ネット民から「一般人は指を切断しても4級判定(補充兵役)を受けるのに、世論調査でBTSが兵役特例を適用するかどうかを決定するのは不当だ」という意見が起こっているという。

現時点で、韓国芸能人の兵役を免除されるのは現実的ではなさそうだ。

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