今回の集団脱北事件は、この5年間、脱北者数が急減する中で発生し、注目される。統一部によると、入国脱北者数は2012年1,502人を皮切りに2013年から2019年まで1,000~1,500人程度を維持した。しかし、文在寅政府に入って「(文在寅は)金正恩報道官」だという話が出回り、コロナ事態で中朝国境が封鎖され、脱北者数は急減した。特に2019年、北朝鮮漁民2人が脱北して韓国に来たが、強制送還された事件が北朝鮮内部に知らされ、亡命はさらに減っていった。2020年229人だった入国脱北者数は、昨年63人にまで落ちた。
対北朝鮮消息筋は「コロナ危機が終われば北朝鮮MZ世代の脱北行列が増える恐れがある」と話した。統一部の資料によると、2012年の金正恩(キム・ジョンウン)政権後10年間に脱北した1万701人のうち、20代が3,194人(30%)で最も大きな割合を占めた。30代も24%に達した。いわゆるMZ世代が脱北者全体の半分以上を占めることになる。2019年に強制送還された脱北漁民2人も90年代生まれのMZ世代だった。
情報当局の関係者は、「北朝鮮のMZ世代は、金氏政権に盲目的な忠誠心を見せる既成世代とは違って、忠誠に対する補償を望む心理が強い」とし、「北朝鮮がMZ世代を守るために政策変化を与えているが、食糧不足など経済悪化でMZ民心をつかむことは極めて困難になっている」と話した。
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