1971年のキューバ危機に関する代表的な著書『決断の本質』の著者であるグレアム・T・アリソン氏は、「プーチンがいきなり攻撃する可能性は非常に低いように思われる」と言う。
「しかし、当時ケネディが言ったように、ありえるシナリオは、指導者が破滅的な屈辱を味わうか、成功するかもしれないサイコロを振るかの選択を迫られる場合である」。
そのため、今後数週間は特に危険な時期であるというのが、アメリカやヨーロッパのさまざまな当局者の意見である。
ロシアの外交政策アナリストのドミトリー・トレニンは最近の国営放送のインタビューでエスカレートすればアメリカ本土への核攻撃につながることをワシントンに納得させる必要があると述べた。
「ロシアを戦略的に敗北させるというアメリカの戦略は、ロシアが核兵器を使用しないという信念に基づいている」とトレニン氏は言う。「ここに致命的な誤算がある」。
プーチン氏は昨年ロシアの中核的な利益を脅かす者は「非対称的で迅速かつ厳しい」対応に直面するだろうと述べた。
また、6月には、ウクライナと西側諸国が戦争で一定の「レッドライン」を超えたらどう対応するかという質問に対し、曖昧な表現をしている。
しかしプーチン氏は「意思決定センター」を標的にする可能性があると警告した。
解説
ロシアがウクライナの東部4州の併合を宣言しました。
しかしながらドネツク州にある鉄道の要衝リマンへの進入をウクライナ軍が開始して、奪還しつつあります。
ロシアからすれば、「自国がウクライナに攻撃されている」という事になりますから、核攻撃も是認されるという理屈になります。
「そんな事は起こりえない」とは言い切れない状況にあります。
この記事にもあるように、プーチンは、破滅的な屈辱を味わうぐらいならば、成功するかもしれないサイコロを振るかもしれないのです。それが核攻撃です。
しかし核攻撃を行うにしても、どこにするのか、という問題があります。
要衝リマンを奪還しつつあるウクライナ軍に行うのか、首都キーウに行うのか?
この記事によると意思決定センターを攻撃する可能性をプーチンは示唆したとの事ですが、それは米国ワシントンの可能性すらありえます。
すくなくともプーチンは米国がそう受け取る事を期待しているでしょう。
ただの威嚇なのか否か。
核使用が5%の確率であったとしても大変なことです。
ここ数週間は非常に危ない時期です。予断を許しません。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』10月2日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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