ついに「核使用」も辞さない態度を表明したロシアのプーチン大統領ですが、当のロシア人たちはどんな情報を聞かされ、どのように生活しているのでしょうか?今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』では、中国・深圳在住のMochiさんが、中国に住む友人のロシア人から聞いた戦争の現状と、コロナ禍にまつわる明るい話題について紹介しています。
『華南の風』中国・深セン【19】常態化
先日久しぶりにロシア人の友人と飲む機会がありました。大方の予想を裏切り長引いている戦争も同じように常態化してしまっており、メディアに出てくる頻度も落ちてきています。一応いわゆる西側世界に身を置いている私としては2度目の湾岸戦争以来の本格的な戦争で緊張して毎日ニュースを追っていたのですが、露出頻度が減るとだんだん気にしなくなってきている自分に気づきました。毎日人が死んでいるというのに不謹慎だなと思います。そんな矢先の飲み会でした。
私の頭は反プーチンなので、ウクライナ情勢に触れないでいるつもりでしたが、彼が口火を切りました。
彼 「予備役を30万人招集するってニュース聞いたか?」
私 「聞いたよ、だからモスクワのXXXに大丈夫かよってメッセージ送ったんだけど、移住先探しでドバイ来てるってさ。まぁ無事でよかった」
彼 「あいつは大丈夫だろ~。それよりそのニュースみてどう思った?」
私 「ロシアがだいぶ切羽詰まってきてる印象だけど」
そこで彼がロシアメディアから得た情報を話し出しました。
- 30万人は国内で銃後体制を整える目的で集められ、職業軍人が戦闘員としてウクライナへ送られること
- 西側メディアが「抗議するロシア人と警官隊との衝突」と流したビデオは反ウクライナ戦争の各国のジャーナリスト達でロシア人ではない
- たとえプーチンでも一人でロシアは動かせない。堅固な支持勢力があってこその現体制
ということでした。ロシアメディアはそう言っているんだろうなと思う一方で、100%ガセネタというわけでもないんだろうなとも思いつつ。真実は現場の人しかわからないので私は判断できないが、とにかく戦争で人が死ぬのは見たくないし聞きたくないから早く終わって欲しいと言い、そこで話を切って楽しいトピックに持っていきました。
そう、彼の家族が先々週やっと深センに帰って来たのです。2019年末に中国の武漢市で始まったこのコロナ。得体のしれない、ものすごいスピードで感染するウィルスを懸念し、中国駐在の父親達が最初にしたことは家族を自国へ避難させることでした。その後、パンデミックとなり、逆ギレ状態の中国政府はあらゆるビザの無効化を宣言。有効なビザを持つ駐在員家族は中国に戻れなくなったのです。私の家族も2020年秋に税関が一瞬開いたタイミングで滑り込むまでは私も8か月間一人暮らしだったのは既述の通り。
彼の家族はそのタイミングで帰れず(ロシアでの感染拡大を懸念して陸海空路を中国政府が遮断)、帰れるようになるころは航空券が8倍とかになっていてとても払える額ではなく…そんな彼が約3年待ち望んだ家族とやっと再会できたのです。WeChatに送られてきた家族写真を見て自分のことのように嬉しく思いました。小学校の低学年だった娘さんが来年中学生といきなり大きくなってて、成長を嬉しく思う反面その過程をそばで見守れなかったことを残念に思うとしみじみ語ってました。
私も日本の地を3年近く踏んでません。スタッフもロシア人の彼も、みんなコロナが原因で家族に会うことが自由にできなくなりました。ネットメディアで見る限り、世界はコロナ前にほぼ戻りつつあるようですね。早く中国もその仲間入りをして欲しいと望む毎日です。
(『出たっきり邦人【アジア編】』10月1日号より一部抜粋)
著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)
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