MAG2 NEWS MENU

あと2年で運転免許証廃止はさすがに草…河野大臣「マイナカードと一体化」は本当に実現するのか?ネット賛否両論

河野太郎デジタル大臣は13日、マイナンバーカードと健康保険証を一体化し、2024年秋には現行の健康保険証の廃止を目指すと表明した。さらに運転免許証との一本化についても、24年末までという現在の目標からさらに前倒しできないかと検討しているという。 今まで遅々として進まなかった政府の「デジタル化」だが、8月に河野氏が大臣に就任したことで急加速し始めたようだ。事実上の「マイナンバー義務化」という動きに、ネット上は賛否両論が巻き起こっている。

事実上の「マイナンバーカード義務化」へ。その利点とは?

河野大臣は会見の第一声で「マイナンバーはデジタル社会のパスポートの役割を果たす」と語り、閣議決定のもとで、よりマイナンバーの取得普及と利用拡大に乗り出すとした。

そして、現行の健康保険証と運転免許証について、24年の廃止をめざすと共に、23年には一部の地域限定だが、警察庁との連携で免許更新の講習をオンラインで受講できるようにするという。現在、マイナンバーの交付率は49.5%で、今回の保険証と運転免許廃止を受け、国民全員が取得しなければならなくなりそうだ。

マイナンバーカードには利点が多い。

例えば、マイナ保険証が使える医療機関に限るが、カードを提示するだけで、保険証、診察券、お薬手帳などが一元化されて問診しなくても患者の医療情報が分かり、月に一度の保険証の提示も必要なくなる。また、転居、転職、結婚などをした場合、今まではその都度の更新が必要だったが、その手間も必要なくなる。

一番楽になるのは「役所への書類提出」で、これが大幅に簡略化されることになる。

会社を設立する場合、かつては法務局、公証人役場、最寄りの自治体、税務署など、各自治体に同じ書類を何通も用意して出向く必要があった。しかし、現在は「法人設立ワンストップサービス」を利用すれば、提出する書類をほぼネットで送付するだけでおこなえるようになっている。ただ、そのときにも必ず提示する必要があるのがマイナンバーで、河野大臣が「デジタル社会のパスポート」と言った通り、ネット申請には必要不可欠なものとなっている。

デジタル・ファシズム到来?マイナ強制に猛反発のネット民も

このように、マイナンバーカードにはメリットも多いが、ネット上にはアンチの声も大きい。反対派の理由の1つが、マイナンバーカードを一本化することで拡大する、紛失時の「リスク」だ。

マイナンバーカードを紛失した場合、再発行には1ヵ月程度の期間がかかる。再発行のためには、提出する本人確認書類が必要となるが、肝心のマイナンバーカードが無いのだ。運転免許証や健康保険証が廃止された場合、どうやって本人確認をするのだろうか? 再発行のスピードや紛失した場合の対策も考える必要があるだろう。

そして今回、マイナンバーカードがなくても、23年5月にはAndroidでマイナンバーカードのアプリがリリースされると、先の会見で発表された(iPhone用のアプリは未発表)。しかし、スマホを紛失した場合はどうなるのだろうか? そういった紛失時の明確なルールが見えてこないのが現状のようだ。

最も大きなアンチ意見は「個人情報の漏洩」だろう。マイナンバーを知られるだけで、個人情報が筒抜けになるのはリスクが高い。カードには10桁の番号が記入されており、それが漏れるだけで、自分の収入などの個人情報がバレてしまうことを心配する声がネット上には多くあがっている。

常に情報漏洩の危険性があるマイナンバーカードを作ることに抵抗感や不安を感じている人が多いようだ。さらに、マイナンバーカード事業を通じて、政府と特定の企業との癒着も報道されており、「国民のため」というよりも、政治家と企業が甘い汁を吸うためにおこなわれているのでは?と感じている人も多い。

結局、マイナンバーカードによって政府が国民を支配するという「デジタル・ファシズム」に対する激しい抵抗感が根本にあるようだ。

運転免許証が消えるとか草…ネットに動揺走る

今回の発表を受けて、日本国民にとって最も衝撃的だったのは「運転免許証の廃止」ではないだろうか。

あるのが当たり前だった運転免許証が消える……。これは、国民健康保険証よりもインパクトがデカい。

「変な顔写真のまま発行されて悔しいとか、もう無くなるのか…」「“なめ猫免許証”とか過去のものになるのかよ」など、免許証の廃止に動揺するネット民の声は多い。

また、「ゴールドカードの話してたらいきなり免許証が完全廃止する流れになってて草」「免許今日取ったのになんか廃止の話進んでて草」など、苦笑する声も多く出ている

他にも「がんばって教習所で免許とった感がなくなるな」「違反したら警察にマイナンバーカード見せるのって何か嫌だ」「免許更新講習を独占してる交通安全協会とかどうなるの?」「交通安全協会への支払金の勧誘も無くなるのか」など疑問や不満の声があがる中、わずか2年足らずで本当に運転免許証はなくなってしまうのだろうか?

ただし、利点もある。免許の更新手続きの場合、平日の日中に最寄りの免許更新センターに出向く必要があるが、オンラインで更新できるようになれば、免許更新をうっかり忘れて気がついたら「無免許」になってたというトラブルも防ぐことができるだろう。

しかし、昭和生まれの世代にとって、あの免許証がこの世から消えてしまうのは何だか寂しい気がするのだ。ネット上にも、免許証の廃止により、免許更新センターの順番待ちや、あのデザインを惜しむ声などの意見が出ている。

河野大臣のスピード感に国民や自治体はついていけるのか?

河野大臣の就任によって、まったく動いていなかった日本の「デジタル化」がようやく動き出したようにみえる。

「信教の自由」を理由に統一教会の「解散命令」に及び腰の岸田首相に対して、河野氏は内閣府特命大臣(消費者庁)として、いち早く「霊感商法対策検討会」を設置するなど、その行動力は評価されている。

しかし、河野大臣の「デジタル化」のかけ声に全ての自治体や医療施設が対応できるかどうかは不透明だ。

現在、マイナ保険証の登録者は全人口の20%ほどで、使える医療施設は全体のたった31%だという。23年4月には医療機関の導入が原則義務化されるが、はたして目標期間内に行き渡ることができるのかどうか、その見通しは暗い。

デジタル庁の公式サイトの動画で河野大臣は、各自治体へマイナンバーカード導入を市民から要請するよう訴えた。 市民の側から訴えなければ進まないほど、各役所のマイナンバーカードの普及スピードは遅いということだ。 とある地方の役所では、市民カードが廃止された上に、マイナンバーカードの端末が故障し、結局、役所窓口に行列ができる事態になったという。

めざすは台湾モデル。日本は追いつけるのか?

河野大臣率いるデジタル庁がめざすモデルは、以前まぐまぐニュース!で紹介した、台湾の「我的E政府」に違いない。

これは「法人設立ワンストップサービス」の人生バージョンともいうべきサイトで、生まれてから死ぬまでの手続きを全てこのサイト内で完了できるというものだ。

【関連】デジタル庁が“アナログ”すぎてヤバイ。メールしか知らない上層部、有望な民間出身者が「官僚主義」に愛想を尽かし大量離脱

このサイト作りを主導した現デジタル発展部部長のオードリー・タン氏(当時・デジタル担当大臣)は、同時にDX(デジタルトランスフォーメーション)のミッションに「オープンガバメント(開かれた政府)」を掲げていた。まず、政府の資料やデータを解放する、政治に市民参加させる、政府の説明責任などをおこなう。 デジタル化によって手続きをスムーズにおこなうと同時に、政治をオープンにし、国民の声が届く仕組み作りも欠かせない。

河野大臣には、今回の件で「デジタル・ファシズム」に陥ることのないよう「国民の声を聞く」システムづくりも考慮してもらいたいものだ。

Twitterの反応







※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: デジタル庁公式YouTubeチャンネル

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け