習近平が掘る墓穴。香港で進む愛国教育が中国を滅ぼす事になる訳

 

とはいえ、処分された中学生たちには中国の国旗・国歌を拒否する意図はなく、単なるうっかりミス、あるいはちょっとしたサボリだったようですが、それでも中国への愛国心を示す機会に立ち会わなかったことで、厳しい罰が下されることになってしまいました。

こうした国民に対する愛国の強制は、「鉄は熱いうちに打て」ということで、大人たちよりむしろ学生たちに対してますます進められていくことになるはずです。

加えて、香港の教育現場では、反日教育も急速に進んでいます。2021年からは中国共産党の歴史観を教えることが義務化され、たとえば12月13日は「日本軍により南京大虐殺が行われた日」という嘘が教えられることになったのです。

中国式教育で子供を洗脳せよ

さらに香港では、「北京語(マンダリン)教育」も進められています。香港はもともと広東語ですが、それを無理やり北京語に置き換えようとしているのです。こうしたことは、チベットやウイグル、モンゴルなどでも行われており、少数民族の言語と民族意識消滅の危機となっています。

香港も中国人の入植が進み、これまでの「香港人」としての言語やアイデンティティはどんどん消滅していくことになるでしょう。

このような姿を見ると、私は国民党が台湾に進駐してきた当時を思い出します。日本の敗終戦直後、GHQの日本進駐と同様に、台湾にもマッカーサー極東連合の第一号命令が出て、中国の国府軍が台湾に進駐しました。

国民党は20万の日本軍と40万人の日本の民間人を台湾から追放し、50年間蓄えてきた個人資産までをも、国民党は戦利品として接収しました。その一方で、200万人の中国人が台湾に流入してきたのです。

国民党が台湾を継続支配するためには、台湾は中国の絶対不可分の固有領土であることを唱えねばなりません。そのために、50年間にわたる日本時代は暗黒の時代であり、植民地的搾取、略奪、虐殺の歴史を捏造して、国民党による台湾支配を正当化しました。そして、「台湾史」の研究や書物の閲読は禁止され、語ることさえタブーとなり、捏造された独善的歴史観が日本人にまで押し付けられたのです。

当時は、小学校も中学校も「私も中国人、君も中国人、彼も中国人、皆中国人」と教わっていました。いきなり中国人にさせられた台湾人は困惑しました。そして大陸からやってきた中国人の横柄かつ腐敗に満ちた態度を目にした台湾人は、規律にうるさいけれど律儀な日本人と対比して、「犬が去って豚が来た」と囁きあいました。

こうした中国人と台湾人の文化摩擦が、後に台湾人による大規模デモと国民党による大弾圧「226事件」や「白色テロ」へとつながっていったのです。

この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print

  • 習近平が掘る墓穴。香港で進む愛国教育が中国を滅ぼす事になる訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け