玄米でも変わらない。炭水化物摂取が多いと「がんリスク増」の可能性

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健康を気遣う人たちに人気の玄米や全粒粉ですが、食後の血糖値上昇値に関しては、白米や精製小麦を摂取したときと臨床的には差がないようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖質制限食の提唱者として知られる医師の江部康二先生が、3つの研究結果から、精製未精製の別なく「炭水化物摂取が多いとがんリスクが高まる」との結論を導き出すとともに、スーパー糖質制限食にはがん予防効果が期待できると伝えています。

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炭水化物の摂取が多いほどがんのリスク増加の可能性あり

A)米国糖尿病学会は「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有し、炭水化物のみが、血糖値に直接影響を及ぼす」としています。

炭水化物に関して未精製のもの(茶色)と精製されたもの(白)を区別していません。「炭水化物=糖質+食物繊維」であり、血糖値を上昇させるのは糖質です。

つまりADAによれば、茶色だろうと白だろうと、血糖値を直接上昇させるのは、炭水化物のみであり、タンパク質と脂肪は血糖値に直接影響を及ぼすことはないのです。これらは、エビデンス以前の生理学的事実です。

American Diabetes Association
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,-4th Edition-,2009 57ページ

B)国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)によれば、肝がんを除外すると、HbA1c値は正常値の段階から直線的に全がんリスク上昇と関連していました。

すなわちB型ウィルス、C型ウィルスというウィルス感染による特殊な発がんリスクを除外すると『血糖値が高いほど、直線的に全がんになりやすい』という、とても簡明な結論です。

以下、英文論文として掲載されいますので、すでにエビデンスとなっています。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)

C)A)により明らかですが、白(精製炭水化物)だろうと茶(未精製炭水化物)だろうと炭水化物摂取により血糖値が上昇します。

確かに、茶(未精製炭水化物)のほうが、白(精製炭水化物)より少しだけ血糖値は上がりにくいです。しかし例えば糖尿人である江部康二が、1人前の玄米を食べると食後血糖値のピークは220mg/dlくらいで、1人前の白米を食べると食後血糖値のピークは240mg/dlくらいであり、臨床的にはこの差は無意味です。

一方、たんぱく質や脂質を摂取しても、血糖値はほとんど上昇しません。例えばビーフステーキを200g食べてもそれに含まれる糖質は0.6gくらいであり、「0.6mg×3mg=1.8mg>と1.8mgしか血糖値は上昇しません。

D)A)B)C)を合わせて考察すると炭水化物(白でも茶でも)の摂取が多いほど、血糖値が上昇するので必然的に全がんリスクが増加することとなります。

スーパー糖質制限食なら、明白ながんリスクである食後血糖値の上昇を最少限に抑えることができます。すなわち、スーパー糖質制限食実践により、がん予防効果が期待できることとなります。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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