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「HUNTER×HUNTER」約4年ぶり再開も「話もう忘れた」ファン困惑、「新連載はじまった」と勘違いの読者も

『週刊少年ジャンプ』の連載漫画の中でもトップクラスの人気作でありながら、3年11ヵ月の長期に渡って休載していた冨樫義博「HUNTER×HUNTER」が、10月24日発売の第47号でついに復活した。ネット上では待望の連載再開を喜ぶ声が多いようだが、中には連載の中断が長すぎて「想像以上に話が分からない」と休止期間が長すぎてそれまでのあらすじを忘れていたり、「今度、HUNTER×HUNTERという新しい漫画が始まったらしい」などとそもそも作品の存在すら知らなかった新読者もいたりと、戸惑いの声も見られるようだ。

「ONE PIECE」の1年後の連載開始ながらいまだ36巻しかでてない理由

『HUNTER×HUNTER』は、『幽遊白書』で大ヒットを飛ばした冨樫義博の「週刊少年ジャンプ」における3作品目にあたり、1998年から連載開始。そして2度にわたってアニメ化された人気作だ。

前年に連載が始まった尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』が103巻まで刊行され、ついに最終章を迎えているが、それに対して『HUNTER×HUNTER』はわずか36巻。11月4日にようやく37巻の発売を控えている状態だ。なぜ、両作品にここまでの開きができてしまったのかといえば、それは再三にわたる「連載休止」が原因である。

2012年16号から約2年、2014年以降は毎年10回ほど連載すると約1年休載するというパターンを繰り返し、今回2018年の52号からの休載期間が過去最長となった。

突然、理由もなく休載が告げられるため、ファンの間では「休載理由」に対して様々な憶測が飛び交った。

もっとも有力だと思われていた理由は「話を広げすぎて物語の収拾がつかなくなった」というもの。現在進行中の「暗黒大陸・王位継承戦」は、国民全員が丸ごと収容できる超巨大客船で14人の王位継承者をめぐる戦いとなり、登場人物も過去最大でストーリー展開も複雑、「どんな話を進めればいいのか富樫氏自身が混乱しているのでは?」という説が有力だった。中には、「すでに大金持ちなので、漫画を描くモチベーションがなくなったのでは」という意見も。

富樫氏の妻は、あの「セーラームーン」の作者・武内直子氏で、夫婦で人気作を連発しているため、「もう働く必要がないから」という意見も納得できるというものだ。

しかし、今年5月に富樫氏が開設した公式Twitterで、休載の真実が明らかになった。

富樫氏は『幽遊白書』連載の頃から、極度の腰痛に悩まされており、最近ではトイレに行ってもお尻を拭けないほどで、毎回シャワーを浴びなければならない状態。それは「あらゆる動作が常人の3~5倍時間がかかる」ほどだったという。

その5月からは、自身のTwitter上でページ数が書かれたネームや下書きの絵を公開。「もしかして、いよいよ連載再開?」とファンは期待を膨らませていた。

ざっくり分かる「HUNTER×HUNTER」とは

そもそも作品自体を知らない人や、すっかり忘れてしまった人のために「HUNTER×HUNTER」の概要とあらすじをここで紹介しよう。

主人公ゴンは、生き別れの父ジンと再会するために、父の職業であるハンターをめざし、ハンター協会の主催するハンター試験に向かった。クラピカ、レオリオ、キルアと仲間になったゴンだったが、強い者と戦うことが生きがいのヒソカの妨害で、しばしばピンチに遭遇するが、ハンターに必要な「念能力」を習得して、数々の冒険を乗り越えていく。クラピカは一族を皆殺しにした「幻影旅団」への復讐をするために行動し、またヒソカが一員を殺したことで幻影旅団はヒソカを狙っている。

閉鎖国家におけるキメラ=アントとの戦いでは、ハンター協会会長ネテロが犠牲になり、ゴンも瀕死の重傷を負う。

キルアの妹アルカの能力により、復活したゴンはついに父・ジンとの再会を果たし、里親ミトの元へ戻った……。

読んでいる人も解説困難な「暗黒大陸・王位継承戦」とは?

父・ジンとの再会を果たし、ゴンは物語当初の目標を達成している。したがって「暗黒大陸・王位継承戦」にはゴンはほとんど登場せず、実質的な主人公はクラピカ。

カキン王国のホイコーロー国王は未知の大陸・暗黒大陸へ向かうために、家族、家臣、国民を載せた巨大な旅客船ビッグホエール号を出港させた。

出港と同時に自分の跡取りを決める「王位継承戦」を始める。13人の王子の中で殺し合いが行われ、生き残ったたった1人が次の国王に選ばれるのだ。

王子にはそれぞれ「守護霊獣」という守り神のような存在が傍らにいて、王子の家臣は各々の念能力を駆使して守護霊獣を攻略し、他の王子を殺して仕える王子を継承者にしようとしている。

レオリオと共にハンター協会の重役「十二支ん」の一員となったクラピカは、第4王子が一族の眼をくり抜いた「緋の眼」をコレクションしていると聞き、ブラックホエール号に乗り込み、王子達のいる第1層に護衛として参加する。かつてのハンター仲間と連携し、味方の少ない第13王子ワブルを守りながら、王子の護衛全員に念能力を指導して、護衛のレベルアップを図る。継承戦の犠牲者をできるだけ抑えようとするが、既に第12王子モモゼ、第8王子サレサレ、第10王子カチョウが死んでいる。

一方、地下層は王族の血を引きながら継承権のない者が3大マフィアが牛耳っていた。ヒソカがいると嗅ぎつけた幻影旅団が最下層に侵入しており、マフィアの1つシュウ=ウー一家
の若頭ヒリンギは、他の組同士と抗争しながら幻影旅団をコントロールする鍵となるヒソカ探しを命じられた。

第391回では 連載休止前の続きで、ヒリンギはモレナ率いるエイ=イ一家の一員バドイユと対決していた。

このように、王位継承戦では14人の王子とその護衛たちが入り乱れるバトル。下層では3大マフィアの抗争と幻影旅団とヒソカのバトル。ハンター協会とハンター協会を牛耳ろうとするパリスや、暗黒大陸へハンターたちへ誘い込もうとする前会長ネテロの息子ビヨンドとの確執など、同時並行でいろいろな戦いが展開するので、話を知っている人でも何度も読み返さないとならないという複雑な展開に。

ましてや「HUNTER×HUNTER」を初めて読むジャンプ読者は、「なぜ、これほどまでに話題なのか分からない」という人も多いようだ。何せ「暗黒大陸編」が始まってから既に10年が経過しているのだ。当初は子供だったが、既に成人しているという読者も多いことだろう。また、最近のジャンプは腐女子向けマンガが増えている影響からか「新連載はじまったらしい」と、勘違いしている読者もいるようだ。

これを機会に「HUNTER×HUNTER」の世界にどっぷりハマってみてほしい。「ONE PIECE」同様、いやそれ以上の感動と興奮を与えてくれるかもしれない。そして富樫先生、今回は少しでも長く連載を続けていただきたい。

Twitterの反応

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image by : 週刊少年ジャンプ公式サイト作品紹介ページ

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