KDDIはStarlinkと強固な関係。auスマホでの直接通信は実現するか?

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日本で衛星通信サービス「Starlink」を法人や自治体向けに展開するKDDIが法人向けサービスの説明会を実施。将来的にスマホへの直接通信を視野に入れていることが明らかになりました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、スマホでの直接通信実現のための技術面、制度面の課題を列挙。それでも衛星通信分野においては国内で優位な位置にいると伝えています。

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KDDIがStarlinkによるスマホ直接通信の実現に含み──同社が持つ周波数帯にStarlinkは対応するのか

KDDIは10月19日、Starlink説明会をオンラインで開催。法人向けサービスについて説明を行った。Starlinkはすでに日本でサービス提供を行っているが個人向けにとどまっており、国内における法人や自治体向けのサービスはKDDIが手がけることになっている。ただし、サービス内容や料金体系については今回、明らかにされなかった。

説明会で注目されたのは、au基地局のバックボーン回線の活用、さらに「Starlink BUSINESS」としてWi-Fiや有線LANが提供されるだけでなく、将来的にスマホへの直接通信を視野に入れているという点だ。

StarlinkとアメリカのキャリアであるT-MobileUSが数年中にスマホへの直接通信のサービスを提供するとしている。Starlinkではアメリカ以外の国でのパートナーを募っているとしていた。

KDDIは衛星においてStarlinkに技術協力しているし、日本でのサービス導入においても、総務省との交渉に一役買っている。さらにKDDIは国内で唯一の「認定Starlinkインテグレーター」であり、これも世界で4社目なのだという。つまり、KDDIはStarlinkとの関係は強固なのだ。

日本におけるスマートフォンへの直接通信には技術的、さらには制度面の課題がいくつか残っているという。

松田浩路経営戦略本部長兼事業創造本部長は「iPhoneで発表された衛星通信機能は、衛星通信に使っている周波数をスマートフォンに搭載している。一方、StarlinkとT-MobileUSが発表したのは、地上で使っている周波数を衛星で使うというもの。

厳密に言えば、地上で使っていい周波数と、衛星で使っていい周波数は、国際的にも区分が分かれている。そこが制度面での課題となっている。

技術的には通信速度がどの程度になるのかといったことは、衛星側のアンテナの大きさなどにもよる。またスマートフォンのままで直接通信することを考えると、いくつか技術的な課題が残っている」としている。

StarlinkとT-MobileUSはミッドバンドを使ってスマホとの通信を実現するとしている。両者の使うミッドバンドと同じ周波数帯をKDDIが使えるのかどうか。もしくはKDDIが持つ周波数帯をStarlinkに対応させることができるのか。

楽天モバイルのスペースモバイル計画やHAPSがこれからの計画に対して、Starlinkはすでに3400機以上の衛星を飛ばし、ビジネスを稼働している点が大きい。

もちろん、事業が上手くいかず、突然、終了してしまう恐れもゼロではないが、いまのところ、KDDIは実に上手くStarlinkと組むことができたのではないだろうか。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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