マスク過信で密集の愚。日本がこの夏世界一のコロナ流行地になったワケ

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2022年夏のコロナ第7波で、新規陽性者数が世界最多となる日々が続いた我が国。ほぼすべての国民がマスク着用を続けていた日本にあって、なぜあのような感染爆発が起きてしまったのでしょうか。その理由を探るのは、ジャーナリストの伊東森さん。伊東さんは自身のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』で今回、「ハイブリッド免疫」「マスク過信」「参院選」をキーワードに、日本がコロナ感染者数世界一となってしまった原因を考察しています。

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この夏の日本「コロナ感染者数世界一」のナゼ。マスクを過信しすぎて“密集”を生み出していないか?

今年の夏、新型コロナウイルスの新規感染者が、日本が世界最多を占める時期が、ある時期続いた。

7月27日、WHO(世界保健機関)は24日までの1週間当たりの新規感染者が、日本でおよそ97万人と、世界で最多を占めたと報告。

日本はその1週間前から73%も増加。一方、アメリカでは3%減って86万97人、ドイツは16%減り56万5,518人となった(*1)。

このことについて、政府の新型コロナ対策分科会メンバーの舘田一博・東邦大教授(感染症学)は東京新聞の取材に対し、

「欧米の感染が落ち着いている時に、たまたま日本が急増したので、一時的にトップになったのだろう」(*2)

と語っている。

感染の流行の波は、ワクチンの接種状況の時期や各国の気候などに左右されやすい。一方、世界では検査体制を縮小している国も存在。日本は無症状者を含め新規感染者の把握を続けていた。

ただ欧米ではコロナとの“共存”する路線が定着。ニューヨークでは屋外ではマスクをする人はほとんどおらず、商店や公共施設など、屋内でも少ない。地下鉄のなかでも半数程度だという(*3)。

目次

  • ハイブリッド免疫
  • マスクを過信しすぎて、“密集”を生み出していないか
  • 参院選終了までコロナ対策“放置”か

ハイブリッド免疫

オミクロン株の出現により、ワクチンによる感染の予防効果が大きく低下。ただ夏の時期に欧米で日本ほど感染者が増えなかったのは、欧米で「ハイブリッド免疫」を持つ人が増えたためだと考えられる(*4)。

イギリスでは2021年に入ってから、S抗体(ワクチン接種または感染すると陽性になる)の陽性者とN抗体(感染した人だけが陽性になる)の陽性者との乖離が生まれ始めた(*5)。

これはワクチン接種が開始されたことによるものであり、21年半ばには国民の90%以上がS抗体陽性者となった。一方、22年に入ってから急激にN抗体の陽性率が高くなる。

理由は、オミクロン株がイギリス国内で拡大したことによるもので、21年末に約20%だったN抗体陽性率が、70%にまで達す。

これは、オミクロン株の流行により、国民の半分がオミクロン株に感染したからだと考えられる。

つまり、イギリスでは約7割の人が、「ワクチンによる免疫」と「感染による免疫」の両方か獲得したことを示す。

これが「ハイブリッド免疫」だ。このことにより、とくにBA.5に感染しにくい人が多いことから、感染者がそれなりに抑えられたようだ。

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