クーデター発生の可能性も。“子飼い”で周辺を固めた習近平が抱える新たな火種

 

これに関して気になる情報が入ってみました。これも要確認であることはお断りしておきたいと思いますが、習近平国家主席の3期目が確定してすぐに、中国政府が在ウクライナの中国人リーダーに命じた即時退去と、ウクライナに伝えたとされる「ロシアによる総攻撃が近い可能性」です。

真偽のほどは分からないと申し上げておきますが、もし何かロシアから掴んでいるのだとすれば、それは中国が台湾に攻撃を仕掛ける際の戦略に何らかのつながりがあるかもしれません。

ロシアによる核兵器の使用は、どのような理由があったとしても許すことができない暴挙ですが、すでに一方的に4州を併合し、クリミアの維持に注力し、それらの地を“ロシアの領土”と位置づけ、いかなる攻撃もロシアの国家安全保障へのチャレンジだとこじつけたとしたら、支持できるか否かとは別次元で、これはロシアが定めた核兵器使用のためのドクトリンに合致するため、越えてはならないレッドラインをまたいでしまうことになるかもしれません。

日本の安全保障の立場から見れば、ロシアによるウクライナ周辺での核使用は、断固として反対し激しく非難しても、直接的な被害を受けることはありませんが、これは同時にシベリアおよび北方領土へのいかなる挑戦も…というこじつけがロシア政府によってなされた場合は、直接的な核の脅威に曝されることになります。

このような場合、本当にアメリカ政府とアメリカ軍は核の傘を提供してくれるでしょうか?

そしてもし中国が最終手段として、台湾海峡および南シナ海周辺で、自国の国家安全保障問題への懸念という理由から核使用も辞さないという状況に追い詰められ、アメリカおよびその仲間たちと対峙するような事態になったら、これはまた日本によっては直接的な脅威に曝されることを意味します。

このような場合でもアメリカは日本を中国の核から守り、同時に有事には核での報復をしてくれるでしょうか?

その答えは、現在、アメリカ政府内でも意見が分かれるところのようです。ウクライナおよびその周辺で、ロシアによる核使用の可能性が高まったという認識から、核使用の場合、アメリカはNATO同盟国を防衛するためにロシアに核での報復攻撃が出来るのか否かという問いが投げかけられています。

核攻撃に対して通常兵器で報復するというのは同盟国の目から見るとあり得ないでしょうが、核による報復に踏み切った場合は、核による報復の応酬という地獄に導かれることになります。

同盟からの信頼とアメリカ軍のプレゼンスへの挑戦と見ることが出来ますが、戦略上、答えが出ないとても重要なジレンマと言えます。

もし中国がさらに台湾海峡に圧力をかけた場合、アメリカは台湾のみならず、同盟国・日本と韓国を守ることが出来るか?

そしてロシアがなぜか息を吹き返し、シベリアで日本と韓国に対して圧力をかけた場合に、アメリカは対峙するだけの力と覚悟を持つのか?

日米安全保障条約上は、答えはclear cut YESであってほしいと思いますが、アメリカ軍部内でも疑問視されるほどウクライナに肩入れし、ハイマースなどを供与した結果、国内での在庫が追い付かない状況にまで陥っている状況下で、ウクライナ、台湾、南シナ海、北朝鮮などによる同盟国に対する脅威に責任を持って対応できるのかが今、問われているようです。

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