ウクライナの影に潜む米国。プーチンが絶対に戦争を負けられない理由

Ukrainian flag on the background of the rally. No war. Support for Ukraine
 

ニクソンとキッシンジャーは、ソ連に対抗するために中国と協力しましたが、今のNATOはロシアと中国を一体化させようとしているかのようにさえ見えるのです。トッドさんも、なぜ西側の人々がロシアを嫌うのか理解できないと言っています。

トッドさんはアメリカとイギリスが、ウクライナを事実上のNATOとして軍事訓練を行っていたことから、ウクライナ戦争は、ロシアとアメリカとの代理戦争である、としています。

ロシアから見れば、ウクライナ戦争はアメリカとの戦争であり、どのような手段を用いても、負けられない戦いになってしまっているのです。

ウクライナの背後でこの戦争を主導しているのは、アメリカとイギリスです(p204)

トッドさんが警告するのは、今回のウクライナ戦争によって、本来、戦争に歯止めをかける核兵器が、むしろ核兵器を保有することで戦争を優位に戦えるということが、国際的に共有されてしまったことです。

これを見て、中国が同じように核兵器で威圧しながら、台湾侵攻を行う可能性があるということです。日本は防衛力強化をしなくてはならないし、日本の核武装をトッドさんは提案しています。

フランス人らしい感情を廃した冷徹な分析だと思いました。フランスは電力のほとんどを原子力発電で供給しているし、核兵器も持っています。唯一の被爆国として日本の立場もわかるけれども、あえて核武装を提案するところがトッドさんらしいということなのでしょう。

トッドさん、良い本をありがとうございました。

【私の評価】★★★★☆(80点)

<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)

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著者/本のソムリエ(読書普及研究所代表)

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