ウクライナの影に潜む米国。プーチンが絶対に戦争を負けられない理由

Ukrainian flag on the background of the rally. No war. Support for UkraineUkrainian flag on the background of the rally. No war. Support for Ukraine
 

長引くロシアとウクライナの戦争は、これからどのように世界を変えていくのでしょうか。さまざまな予想を的中させてきたフランスの歴史経済学者の見解についてまとめた一冊を、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』が紹介しています。

【一日一冊】第三次世界大戦はもう始まっている

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第三次世界大戦はもう始まっている

エマニュエル・トッド 著/文藝春秋

ソ連崩壊、トランプ勝利、英国EUの離脱を予言したフランスの歴史経済学者トッドさんは、ウクライナ戦争をどう見るのでしょうか。

まず、ウクライナ戦争の背景ですが、西側にはロシアを西側に組み入れようとする勢力と、軍事的にロシアを包囲しようとする勢力がありました。

ロシアを西側に組み入れようとする勢力は、ロシアからガスを購入したり、安倍首相のようにロシアと友好関係を深めようとしたのです。

一方、ロシアを包囲しようとする勢力は、ウクライナで暴力によるクーデターを起こしてウクライナのNATO入りを進めました。これでプーチンの堪忍袋の緒が切れてしまったのです。

ロシアにとってウクライナは、アメリカにとってのキューバであったのですが、NATOはそれを理解していなかったのです。

アメリカとイギリスは侵攻を事前に察知していましたが、ドイツとフランスは「まだ交渉は可能だ」と最後まで考えていたのですから、ウクライナのNATO加盟がロシアにとっていかに「死活問題」なのか、認識していなかったのは事実なのでしょう。

2008年4月のブカレストでのNATO首脳会議で、「ジョージアとウクライナを将来的にNATOに組み込む」ことが宣言されました(p21)

トッドさんの説明を聞いていると、安倍首相が目指したロシアとの融和による中国包囲網の形成は、筋がよかったとわかります。

もしもNATOが東方拡大を目指さなければ、もしもプーチンがウクライナのNATO入りを許容すれば、中国包囲網は完成したかもしれないのです。

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