なぜ、日本製デニムは世界的に高評価なのに市場拡大できないのか?

Hanging jeans in Japanese Jeans' street
 

2.日本のデニムの強みと弱み

日本のデニムの開発、生産の技術は世界的な水準です。もし、それを世界市場に販売することができれば、現在でも日本のデニム産業は隆盛を保っているでしょう。

問題はコストです。これはあらゆる製造業に共通しています。技術はあるけど、コストが高い。コストの問題で、国内生産から海外生産に移行したし、コストが高いから売れないということです。

しかし、海外生産しても日本企業が管理する限り、現地工場と比べるとコストが高くなります。従って、現地販売はできず、ほとんどの商品は日本市場で販売されます。

一方、海外の現地資本の工場はどんな課題があるのでしょうか。多くの工場の設備は最新鋭で、若い労働力も潤沢です。コスト競争力もあります。しかし、商品開発力、技術開発力がない。ですから、海外でサンプルを購入し、それをコピーして生産するのです。しかし、コピーばかりしていたのでは、ノウハウが蓄積されません。いつまで経っても、コピー生産から抜けられないのです。

この両者が、WIN-WINの形で連携することはできないのでしょうか。 

3.日本のアパレル企業とライセンス生産

日本のアパレル企業が70年代以降、急激に成長した理由の一つは、ブランドライセンスです。欧米のブランドとライセンス契約(ライセンス生産権と国内販売権)を結ぶことで、知名度の高いブランドによるビジネスが可能になりました。最も重要なことは、自社の努力で売上を拡大することができたことです。

また、ブランドライセンスによって、欧米のアパレルブランドの企画手法を学び、アプルーバル(商品デザインの確認と承認)によって、ブランドイメージから外れた商品を除外し、ブランドイメージを保つことができました。

ライセンス以外のブランドは、売れ筋追随になりやすく、ブランドの特徴が曖昧になりがちです。ブランドイメージを一定に保つことで、固定客が育ち、安定したビジネスができました。

日本企業の課題はコストであり、コストの低い国に商品を発注します。OEM生産です。

OEM生産では、発注した商品は全て買い取ります。発注以上の数量を生産することは認めません。従って、OEM工場は自社の努力だけで成長することができません。永遠に下請けのままです。

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