しかし、オーナーは、すべてを終わりにするつもりはありませんでした。
先代から続く伝統の味と腕のある料理人たちの職場は、何としても守りたいという思いがありました。
そこで目をつけたのが、冷凍食品事業です。
中食や内食はまだまだ伸びしろがあり、伝統の味を守り続けることができるのではないかと考えたのです。
さらに、その味を守ってきた料理人にも、同じ仕事で働き続けてもらうことができます。
お店と同じ作り方をしながらも、冷凍食品として販売できるのは、現在の冷凍技術の進歩があるからです。
できた料理を熱々のまま真空パックにし、マイナス30度の急速冷凍機に入れるだけなのです。
このような最新の機器が、小さな事業所でも導入できるようになったのです。
これがあれば、飲食店は自慢の料理を冷凍食品として販売できるようになるのです。
外食産業が落ち込んでいるいま、たとえお店が無くなったとしても、その味を残すことができます。
かなり勇気のいる決断ですが、考えられない選択ではありません。
長年営業してきたお店を手放すことは辛いことです。
しかし、お客さまの減ったお店を維持することは、もっと辛いのではないでしょうか。
もちろん、営業を続けながら、冷凍食品を手掛けることもできます。
お店の置かれた状況によって、選ぶ道は違ってきます。
冷凍食品事業という選択肢があることを知れば、これから歩く道を明るく照らしてくれるのではないでしょうか。
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