11月28日に急逝した、俳優でバラエティタレントとしても類稀なる才能を発揮した渡辺徹さん。各種メディアで伝えられた訃報では、渡辺さんが抱えていた糖尿病の恐ろしさがクローズアップされましたが、現役医師の和田秀樹さんはその内容に違和感を覚えたといいます。今回和田さんは自身のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』で、「糖尿病の真実」を解説。さらに糖尿病とアルツハイマー病の意外な関係を紹介するとともに、渡辺徹さんの死因について自身の見解を記しています。
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糖尿病や高血圧より低血糖や低血圧や低ナトリウム血症が怖いのを教えない国
渡辺徹さんが亡くなったときも糖尿病の怖さがあおりまくられた。
1981年、「太陽にほえろ!」でデビューした当時は69キロ。それが榊原郁恵さんと挙式した87年には130キロだったとのことだ。“マヨラー”で大食漢。30歳で「2型糖尿病」と診断されて以後、急激なダイエットやリバウンドを繰り返してきたらしい。
料理番組の収録中に胸が苦しくなり血糖値を測るとなんと600mg/dLだったらしい。その後、奥さんの徹底的な栄養管理のもと、体重は79キロになったとのことだ。ところが、公演中で足が思うように動かなくなり、虚血性心疾患が発覚。このときも、妻の目を盗み、暴飲暴食していたと告白したそうだ。
そして2013年に膵炎で一時入院。さらに16年からは人工透析を受けるようになったという。死の一か月前の記者会見ではかなりスリムになった姿が報じられた。
ところがその一か月後に亡くなっている。
こんな話を書くと糖尿病は怖いし、それなのに暴飲暴食をした報いだという人が多いだろう。
血糖値600mg/dLなんて最重症の糖尿病と思う人もいるだろうが、私も3年半前に糖尿病が発覚した際には血糖値が660mg/dL(勝ったとは言わないが)だった。ただ、胸の苦しみなどなく、のどがひたすら渇くだけだった。
おそらくその2年くらい前から糖尿病はあったのだろうが、現時点では、腎機能もまったく正常だし、眼底も正常だ。
糖尿病という病気で誤解が多いのは、ただ血糖値が上がる病気だと思われていることだ。
実は、血糖値のコントロールが悪くなる病気だ。
糖尿病のない人は多少のダイエットをしても病的な低血糖にはならないが、糖尿病の患者はダイエットをしても、薬やインスリンが効きすぎても、失神をするような低血糖が起こってしまう。慌てて氷砂糖を食べるのもそのためだ。
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