中国の総合家電メーカーXiaomi(シャオミ)が、19分で充電が終わる「神ジューデン」スマホを発売。日本の大手キャリアではソフトバンクだけが販売することになり、ソフトバンクは人気俳優を起用したテレビCMで訴求していくようです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、中国メーカーの多くがSNSでの認知度アップに苦労してきた実態を紹介。Xiaomiの場合は、読みづらさがさらに苦戦の要因になっていると分析し、ソフトバンクとのタッグへの期待とともに、急ぐ必要があると課題も指摘しています。
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ソフトバンク、「Xiaomi 12T Pro」を「神ジューデン」スマホと命名──Xiaomiは日本でのブランド認知が喫緊の課題
ソフトバンクは「Xiaomi 12T Pro」を「神ジューデン」スマホとして国内MNOで独占的に販売する。Xiaomi 12T Proは19分で100%の充電ができるのが売りとなっている。スペック的になかなか伝わらないということで「神ジューデン」として訴求。吉沢亮さん、杉咲花さんが出演するCMでも「神ジューデン」が連呼される。
Xiaomiの日本における課題はなんと言っても「認知度」だろう。今回のXiaomi 12T ProもSnapdragon 8+ Gen1を搭載しながらもコストパフォーマンスに優れるのは特筆すべき点と言える。しかし、日本の一般的なユーザーからすると、そもそも「Xiaomi」の読み方もわからず、また「聞いたことある」という人も少ない。
Xiaomiはもともと中国ではSNSを巧みに使い、口コミでシェアを拡大してきたメーカーだ。日本上陸当初も「SNSで認知度を上げる」と語っていたが、なかなか思うように行っている感じはしない。
今回、ソフトバンクに「国内MNO独占販売」として扱ってもらうことで「神ジューデン」というキャッチコピーでアピールしてもらい、少しでもXiaomiという名前が認知されれば御の字だろう。
中国メーカーが認知度を上げるという点ではOPPOが上手いことやったように思う。そもそも「OPPO」というメーカー名も「世界中の人が言いやすい、覚えやすいから」という理由でつけられたとされている。
OPPOも日本上陸時は「中国同様にSNSで認知度を上げる」と言っていたが、早々に日本市場を理解したのか、SNSでは限界を感じたようで、指原莉乃さんを起用したテレビCMを流すようになった。やはり、日本市場で効果的に名前を知ってもらうには、いまだにテレビの力は大きいのだろう。
ファーウェイも長いこと日本市場で認知度を上げようとしていたが、なかなか上手くいかなかった。結局、アメリカの禁輸措置で、ニュース番組に「ファーウェイ」が連呼されて一気に認知度が上がった感がある。
Xiaomiとしても、「神ジューデンスマホ」として、とりあえず一般に知ってもらい、その先に「Xiaomiというメーカー名」を認識してもらう必要がある。それにはやはりテレビCMとイメージキャラクター的な存在は不可欠だ(Xiaomiは昨年、Kōki,さんを起用していたが)。
また、Xiaomiというメーカー名も読みにくく、わかりづらいため、サムスン電子の「Galaxy」のようにわかりやすい製品名をつけて、社名よりも製品シリーズ名をプッシュした方がいいのではないか。
「神ジューデン」もソフトバンクとしてはシリーズ化していくようで、Xiaomiだけでなく、別のメーカーが採用される可能性もある。他社から「神ジューデン」のスマホが出る前に、ブランド認知の強化に乗り出す必要がありそうだ。
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