「検討使」の裏で着々と右翼政策は実行
“退陣騒ぎ”の裏では、安倍晋三元首相もびっくりの“右翼政策”を次々と邁進。「検討使」という言葉がウソのように、右派政策の面では“実績”を作り始めている。
与党は2日、敵基地攻撃能力を保有することで合意。日本は戦後、相手国の領域への攻撃はしないという“専守防衛”の方針を堅持してきたが、しかし大幅な転換を図った。
防衛費も5年以内にGDP(国内総生産)比2%に増額させる方針。防衛費は1967年にGNP(国民総生産)比1%を上限とする方針が掲げられ、憲法に基づく抑制的な防衛政策を予算面で対外的に訴えるものとして、歴代の政権は1%を目安に当初予算を編成してきた(*5)。
一方、2011年3月の東日本大震災による東京電力福島原発事故を契機に、日本は原発への依存度を極力、減らそうとしてきた。だが、岸田首相は8月、原発政策の見直しの検討を支持。
そもそも、岸田首相は党内基盤が弱い。かといって、自民党の“アイデンティティ”を脅かす旧統一教会問題が襲う今、誰も「次の首相」という火中の栗を拾うものは誰もいない。
結果、岸田首相は「操り人形」として、自らを防衛族や原発推進を狙う経産省に“差し出す”ことで、黄金の3年間をただひたすら耐えようとしている。
自民、国民民主と連立?
一方、ここにきて自民党が、公明党との連立政権に国民民主党を加えることを検討していると時事通信が報道(*6)。
時事通信が伝えたところによると、自民、国民両党の幹部が水面下で接触を続けており、調整がつき次第、連立協議に入るという。
時事通信の記事によると、国民民主党側との交渉は、党の総裁である岸田首相と麻生副総裁も了承済み。
「あとはタイミングだ。今の政権はこれぐらいのカンフル剤を打たないと良くならない」
という自民党関係者のコメントも紹介した。
国民民主は、今年の通常国会では今年度予算と第1次補正予算に賛成したのに続き、今国会でも第2次補正予算に賛成するなど、「野党色」は薄れている。
日刊ゲンダイは国民民主党関係者のコメントとして、
「衆参計20人の国民民主の所属議員のうち、自民との連立を強く望んでいたのは玉木代表、古川元久国対委員長、そして和歌山県知事に転身した岸本周平前幹事長代行の3人程度です。全員、財務官僚あがりで党内では『財務省3人衆』と呼ばれています。先の和歌山県知事選で岸本さんが自民の支援を受けて当選したことも、自民との連立協議に向けた『地ならし』と受け止められています」
との声を伝えている。
■引用・参考文献
(*1)若林良「岸田内閣の支持率は4ヶ月連続で最低水準を更新、不支持率は初の5割越え 11月世論調査まとめ」選挙ドットコム 2022年12月4日
(*2)若林良 2022年12月4日
(*3)「岸田総理に異変『スーツの肩に…」』気力はもう限界、自民党では『次の総理』選びが始まった」現代ビジネス 2022年11月18日
(*4)「閣僚辞任ドミノの岸田政権、第1次安倍政権末期に酷似『年内か、来年1月まで』の声も」NEWS ポストセブン 2022年11月28日
(*5)山口哲人「重要政策変更 急ぐ政権」東京新聞 2022年12月4日付朝刊
(*6)JIJI.COM「自民、国民と連立検討 局面転換狙う、玉木氏入閣案 公明反発も、実現不透明」Yahoo!ニュース 2022年12月3日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年12月10日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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