突然のゼロコロナ政策の緩和で混乱が続く中国。その責任が問われても不思議ではない習近平国家主席ですが、国際社会での存在感はむしろ高まっているようです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、サウジアラビアやインドネシアで次々と巨大工事を受注するなど、海外で活発化する中国の動きを紹介。その一方で彼らの後塵を拝することしかできない日本の行く末を、悲観的に記しています。
この記事の著者・浜田和幸さんのメルマガ
サウジアラビアやインドネシアを一帯一路に取り込もうとする中国
ぶちゃけ、中国の習近平国家主席の動きが活発化し、世界の注目を集めています。
国内ではゼロコロナ政策への反発が強まっているため、目を海外に向けようとしているかのようです。
12月9日にはサウジアラビアの首都リヤドで初の「中国アラブ首脳会議」を開催しました。
中東諸国を中心に30か国の元首と面談した習主席ですが、特にサウジアラビアとは300億ドルを超える経済協力案件に署名。
これまでサウジアラビアはアメリカとの経済、軍事的結び付きが強かったのですが、このところ急速に中国との関係強化に走っています。
サウジと中国の貿易額は873億ドルに達し、この1年で40%近くも急増。
対してサウジとアメリカの貿易額は290億ドルに急落しました。
しかも、中国はサウジから輸入する原油の代金決済は、それまでのドルではなく人民元で行うようになっています。
中国が主導してきたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の枠組みにサウジアラビアも加入することが確実視されるようになりました。
そうした動きを象徴するのが、サウジアラビアを南北、東西に結ぶ高速鉄道を中国が建設していることです。
更には、「ライン」と呼ばれる巨大な新都市建設計画も進行中です。
2030年に第一期工事が完成する予定ですが、170キロに及ぶ新都市には900万人が暮らすとのこと。
大半は地下部分になる模様ですが、全ての設計から建設まで中国が請け負っていると言われています。
一方、イドネシア政府が水没の危機に瀕しているジャカルタからヌサンタラへの首都移転計画を発表。
この遠大な構想の実現に関しても、頼みの綱は中国と言われています。
インドネシアは中国に対しては新幹線計画の大幅な遅れによって不信感を募らせてきました。
その汚名挽回のためにも、中国は積極的な資金と技術の提供をジョコ大統領に申し出ているわけです。
残念ながら、サウジアラビアでもインドネシアでも日本は中国の後塵を拝しています。
どうやらアメリカからの圧力を受け、中国との協力案件は極力控える方向のようです。
ぶちゃけ、これではアメリカと共に水没する運命になりかねません。
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