障がい者への「強制不妊」報道に違和感。日本には視野の狭い記事が多すぎる

Woman holding pregnancy test, New life and new family concept.
 

この障がい者の結婚や出産は福祉制度の中では想定外であり、ひとつの法人だけで解決は出来ない社会全体の問題である。

報道側は、この認識を持って、全国で広く事例を追って、支援機関が対応できていない「産む」支援について、丁寧な調査報道をすることで、より問題は鮮明化し社会を動かしたのではないかと思う。

今回のような報道は福祉法人へのスティグマを招き、そこに真摯に支援するスタッフや集う利用者の生活や精神世界を責めてしまい、通所を生きがいにする人の幸せを侵害することを自覚してほしい。

地域の福祉法人が要支援者のニーズに応えてきた歴史は、日本の障害福祉を支えてきた。

その礎のもと、支援側は法改正に従い、権利擁護の考え方も日々更新する中で、利用者の生きやすさを考えなければいけない責務を担う。

その正しさも間違いも報道により是正される局面もあるかもしれない。

例えば、昨今の保育士による園児虐待は即座に報道されるべき「事件」であろう。

被害者を一刻でも早く救わなければいけない「事件」と、今回のような権利擁護の視点からは丁寧な対応が求められながらも、具体的な対策がない福祉サービスとでは、やはり報道も広い視野を持って臨む必要がある。

私たちの社会における支援はまだまだ不十分である。

権利擁護に対応する仕組みはまだまだ不十分だ。

調査報道すべき点はまだまだある。

不妊処置をしていた法人は「不妊処置を理由にグループホームを退所した人はいない」と説明したとのことだが、ここには選ぶ権利も侵害されているとの認識も成り立つが、これも社会全体の問題である。

まだまだ考えることは多いことを社会で共有し必要な調査報道を試みてほしい。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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