武器で暮らしは守れない。評論家・佐高信氏が「軍隊は有害無益」と訴える理由

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ロシアによる軍事侵攻、北朝鮮のミサイル乱発や台湾情勢などにより、受け入れられやすいと見たのか、政府は防衛費の増額を決定。敵基地攻撃能力までも備えようとする姿勢を見せています。こうした軍拡の動きに明確に反対を唱えるのは、辛口評論家として知られる佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、佐高氏が発起人に名を連ねる共同テーブルが開く2月9日の軍拡反対集会に向けて、大分で「暮らし」を意味する方言「いのちき」の言葉を用い起草したアピールを掲載。東京大空襲の犠牲を予見しながら戦争を継続した例をあげ、軍隊は有害無益と訴えています。

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2月9日の軍拡反対集会に向けて佐高信が唱える「暮らしは武器では守れない」

野党が弱いと言われるが、公明党が野党になればいいだけの話だ、と私は反論している。野党になるべき公明党が与党になっているのを見てか、野党が与党化するのが目立つ。立憲民主党にその傾向が顕著である。保守に媚びを売るような。

それに歯止めをかけるべく、「いのちの安全保障」を求める共同テーブルの運動は生まれた。これまで経済安保や統一教会についてのシンポジウムや集会を重ねてきたが、2月9日に軍拡反対の集会を開く。

午後6時半から文京区民センターで、小室等と私のトークとソングから始めるが、2回、3回と続けたいこの運動のアピールを私が起草した。工夫をこらして呼びかけたつもりのそれを次に掲げる。題して、「暮らし(いのちき)は武器では守れない」。

暮らしを大分では「いのちき」と呼ぶ。いのちを連想させる味わい深い方言である。政府は憲法9条を捨てて軍備拡張に踏み出そうとしているが、それは生命を削り、暮らしを壊す道である。暮らしと軍拡は両立しない。

 

戦火の消えないアフガニスタンで、中村哲さんは井戸を掘り、暮らしを立て直して平和を築こうとした。憲法9条を持つ日本の中村哲さんは、それまでフリーパスでアフガンを歩くことができた。しかし、イラクへの自衛隊派遣が、その平和のパスポートを奪う。だから哲さんは国会で「自衛隊派遣は有害無益」と訴えた。

 

軍隊が国民を守らないことには旧満州や沖縄の例で明らかであり、軍備に頼らない平和を求めるために、私たちは「安保三文書」を徹底批判する。暮らし(いのちき)か、軍拡か。三橋敏雄という俳人は「過ちは繰り返します秋の暮」と詠んだが、私たちは愚かな軍拡の道を選ばない。

 

2023年春

1945年3月10日未明、アメリカの300機ものB29(長距離重爆撃機)による無差別爆撃によって東京は廃墟と化した。死者だけでも10万人と言われる。いかなる激戦地といえども、短期間でこれだけの犠牲者を記録した例はないという。

驚くべきことに軍首脳部は空襲で10万人が死ぬだろうと予測していた。それなのに戦争を続けていたのである。陸軍中将の菰田康一が東京大空襲の半年ほど前に「空襲と防空」と題して書いている。

「東京の爆撃をある1つの想定の下に計算しますと、 約10万人の人が死ぬことになります。 重軽傷者はもっと沢山出来ます。 あすこに3千人、こっちに1万人という風に死骸が転がっておる。 これを見たら、大抵の人は腰が抜けてしまう。 これがこれからの爆撃です。 生優しいことではありません。 しかし、東京の人口は7百万から8百万である。 その中で10万人死んだところで、東京は潰れない…」

潰れないというのは、関東大震災で焼け野原になったが帝都は復興したではないかということらしいが、軍隊は無責任で国民を守らないというのは、この放言だけでも明らかだろう。だから軍隊は有害無益なのだ。

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