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その2 ブラック校則でコート着用禁止、問題は寒くて凍えるからじゃない

列島を寒波が襲う中、一部の学校では、生徒の防寒着に制限を設けていることが、「毎日新聞の情報公開請求」で判明したそうです。ちなみに、この報道ですが、私の理解では鴻上尚史氏が警告のツイートをしたほうが早いので、新聞の動きはそれをフォローしただけとも思われます。

それはともかく、この鴻上氏の問題提起と、一連の報道で「ブラック校則」と呼ばれる学校での理不尽なルールに関する議論が高まったのは悪いことではないと思います。

ところで、このエピソードですが、一体何が問題なのでしょうか?

常識的には、多くの学校の多くの生徒が「凍えるような思いをしている」ということが問題で、だから「ブラック校則を廃止すべきだ」としているようです。間違いとは言えません。

ですが、一番問題なのは違います。多くの報道では、なぜ防寒着を規制するのか、そこにどうして男女差があるのかといった疑問に対して、教員たちが「理由はわからないが規則だから」としていることです。

問題は、この「思考停止と現状維持」です。

思春期は人間の行動パターン、思考パターン確立に重要な時期です。その際に、このような教師を見ているというのは、大きな影響を与えると思います。中には、「こうした現状維持と思考停止がデフォルトなら、この社会は終わっている」と判断して危機回避のできる若者もいるでしょう。そのような種類の若者は、特に心配をしていません。彼らを妨害すれば日本は滅びへと加速することになりますが、彼らはそのリスクを評価して自分の道を選ぶだろうからです。

中には「どうせこの学校はこんなレベル」だと、冷ややかに眺め、その中で冷笑的に損得勘定で自分の方向性を決めるという種類の若者もいるでしょう。こうした思考法のコスパは実はあんまり良くないのですが、この種の人は少なくとも最悪の人生にはならない感じがします。

一番いけないのは「何も感じない」という若者です。「どうせ大人はそんなものなので、それに反発するのは中二病」というような連中はまだましで、中には本当に「何も感じず」に従い、本当に「何も考えない」、そんな人が一定程度はいるのが日本社会です。そうした人間を量産してきたことで、この40年、日本は一直線に衰退の道を歩んできました。その恐ろしさを思うと、やはり戦慄を感じるのです。

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