意欲ある2代目社長が、次々に新事業を企画しては失敗して、社員たちの信頼を失っている。そんな社長のそばで悩む経営企画室長の相談に答えるのは、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さん。今回のメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』では、社長1人に任せずに、成功する新事業を創り出すには、どんなステップを踏むべきか具体的にアドバイスしています。
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社長が新事業を作り出すことにあせっており暴走気味です。どうしたらいいでしょうか?
Question
中堅機械メーカーの経営企画室長をしています。売上は数百億円のレベルです。社長が新事業を作り出すことにあせっており、次々に新しいものに手を出しては失敗して社内では総すかん気味です。2代目社長で10年前に代替わりしたのですが、最初から信頼が薄い感じです。本人はやる気があって頑張っているので、何とかしてあげたいのですが。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。ちょっともったいない状況ですね。社長のアプローチが悪いのか、あるいは社員の理解不足なのかわかりませんが、会社全体としては、せっかくの努力が実を結ばず、早い段階での立て直しが必要かと思います。
社長に助言できる状態なら次のようにアプローチされるのがお勧めです。直接助言できない場合は、取締役などを巻き込んで進めてください。
1.新事業はねらって当たるものではないので、2~3事業並行して取り組みます。新事業創出支援チームを作り、社内でもっともできる部長をリーダーとしてメンバー2名、計3名が今後の新事業創出支援をしていきます。
2.新事業は、事業可能性が大きい分野で、その事業をぜひやりたいという強い意思を持った人材がいる場合に、挑戦する価値があります。お勧めは、会社の事業ビジョン、基本戦略方針に基づき、「こういった分野での新事業を立ち上げます。本気で取り組みたい新事業推進リーダーを募集します。上司には相談せず、社長と事務局だけが見るメールアドレスに応募してください。新事業リーダーはメンバーとして必要な人材2名を社内から指名できます」ということで社内で手を挙げてもらいます。
3.秘密厳守で、審査を進め、2~3名の新事業推進リーダーを選びます。そこで初めて全社に発表し、後は6ヶ月、ビジネスプラン作成とMVP(実証ミニプロダクト)開発を進めてもらいます。鍵はやる気のある人材に提案させ、その中から選抜して、新事業推進リーダーに抜擢することです。また、そのリーダーが同志として全力投球できる優秀人材を2名指名できることです。これはこれまでの社長主導での思いつきで進めるアプローチとは真逆です。
4.6ヶ月という短い期間での検討、実証実験をへて、6ヶ月後には事業化提案をしてもらいます。可能性が大きければ事業化を進め、可能性が小さければそこでプロジェクトを解消すれば、会社としての費用は小さくすみ、スピードは圧倒的に早まります。6ヶ月ごとに2~3事業を並行して進めれば、1つはまともな事業が立ち上がります。
5.新事業創出支援チームはこのプロセスすべてを全面的に支援します。
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