中国人女性「沖縄の無人島購入」SNS投稿は“氷山の一角”。日本中の土地を買い漁る中国に警戒すべき理由

2023.02.23
 

習近平政権が推し進める「軍民融合」

我々はこれを単に中国人一個人、単なる一企業の行動というだけで終わらせてはならない。我々は、習政権が強化する「軍民融合」戦略にいっそう警戒するべきだろう。習近平国家主席は、中華民族の偉大な復興、社会主義現代化強国の実現を目指し、軍民融合の強化を徹底している。

軍民融合とは両者の壁を取っ払った政策を進めることで、その1つに民間技術の軍事転用がある。米バイデン政権は2022年10月、先端半導体に必要な製造装置や最新技術が軍事転用される恐れを警戒し、中国に対する半導体輸出規制を発表した。そして、先端半導体に必要な製造装置で世界シェアを持つ日本やオランダの協力が必要なバイデン政権は今年1月、両国に対して対中半導体輸出規制に加わるよう要請している。米国ほど厳重な規制を敷くわけではないものの、日本も米国に協調することになったが、これは軍民融合に関する典型例と言えるだろう。

日本の土地買い漁りも「軍民融合」に利用される恐れ

そして、土地購入も軍民融合に利用される恐れがある。屋那覇島のケースもそうだが、中国は日本以上に「政治>経済」「政府>企業」であり、たとえば、沖縄の離島や北海道の沿岸部に土地を購入した中国企業、中国人に対して、その所有権を中国政府に渡すよう強制したり、“外見は民間だが中身は国営”の企業に対して、日本の土地を購入するよう圧力を掛けることは今後十分に考えられる。

台湾問題を抱える中国にとって、在沖縄米軍がどのような戦略を練っているか、台湾有事にどれほど意欲があるかを探ることは極めて重要であり、沖縄県の土地購入はそのまま情報収集・偵察のアジトとして利用される可能性もあろう。

中国のこういった政策や戦略はそもそも日本の主権を侵害するものであり、許されるものではない。しかし、事実は事実として蓄積されていく。中国は今まさに「重要土地等調査法」の抜け道を探っている最中なのだろう。この法律だけでは日本の土地、安全保障は守れない。全離島の外国人購入を規制するような、もっと厳しい規制を敷くことが求められている。

image by: National Land Image Information (Color Aerial Photographs), created by Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, distributed by Geospatial Information Authority of Japan, Attribution, via Wikimedia Commons

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

print
いま読まれてます

  • 中国人女性「沖縄の無人島購入」SNS投稿は“氷山の一角”。日本中の土地を買い漁る中国に警戒すべき理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け