閉店予定の老舗「町中華」から味も常連も引き継いだ、大阪王将の“粋”すぎるビジネスモデル

 

老舗町中華の味を絶滅させたくない。

何とか老舗町中華を守ることはできないものか、と考えたのです。

およそチェーン店らしくない考えですが、個人の町中華の歴史を守ることの大切さを知っていたのです。

大阪王将の創業は1969年。チェーン店と言えど、50年以上営業を続けているので、もう老舗の域に達しています。

長年続けることの尊さを自らの経験からも感じているのです。

しかし、そのままのカタチで事業継承することは不可能です。

個人商店とチェーン店では、その運営方法がまったく違います。

双方の良いところを融合させることはできないものか。

そこで、町中華の財産を受け継ぎながら、大阪王将として営業を続ける手立てを考えたのです。

財産の中でもっとも大切なものは、味。

地域の人びとに愛されてきた味を残すことを第一の課題としました。

「栄楽」で人気のあった料理のレシピを元オーナーから教わり、新しいお店の“売り”とすることに。

「栄楽カツカレーセット餃子付」「栄楽生姜焼きライス餃子付」「ネギ塩焼きそば定食餃子付」「豚カツ丼餃子セット」。

常連さんにとって、これは非常に嬉しいこと。

一旦は消滅した、お気に入りの味が復活したのですから。

元オーナーとしては、自分の味を残してくれることに感動さえします。

大阪王将としては、常連さんを引き継ぐことができるのです。

次に、屋号です。

「栄楽」をそのまま継ぐことはできませんが、「武蔵野緑町栄楽店」というカタチで残すことにしました。

元オーナーとしては、これも嬉しいことです。

味と屋号を引き継いでくれた上に、お店の家賃収入を手にすることができます。

大阪王将は、ほぼ居抜きで利用することで、初期投資が抑えられ、人気料理のレシピを教えてもらうこともできます。

そして、63年の実績及び常連さんを受け継ぐことができるのです。

このケースは、双方に大きな利益をもたらす、素晴らしいビジネスモデルではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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