会議が多い日本の会社では、議事進行をする人のスキルによって、実りある時間にも無駄な時間にもなります。経営企画室勤務ともなれば必要なスキルですが、どうにもうまく進行できないという相談に答えるのは、メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さん。事前に準備すべきことを細かくアドバイスし、「成功の場数」を踏むことが自信につながると伝えています。
経営企画室にいるため、会議の議事進行をする立場なのですが、苦手です。どうしてもうまく進められません。
Question
一部上場メーカーの経営企画室で8年、事業部会議や新製品開発会議の議事進行をする立場なのですが、もともと苦手でうまく進められません。何がむずかしいかと言えば、皆の発言をきっちり理解し、フォローすることがうまくできないのと、意見がぶつかったときの調整が苦手です。落としどころがよくわからなくなってしまい、声の大きいほうに引きずられがちです。こういうときに度胸のいい後輩がいるので、それもプレッシャーになっています。
赤羽さんからの回答
ご相談、どうもありがとうございます。会議のファシリテーションはかなり高度なスキルとリーダーシップが必要です。何よりも必要なのは、問題把握・解決力です。皆が結構いい加減だったり身勝手だったりの発言をしますので、それをしっかり聞き分けて、適切に問題を整理し、解決策を導かないといけません。
そのためには、普段からA4メモ書きをし、必要な情報収集をし、社内の詳しい人に何人も食い下がって問題の本質を理解し、上司とも十分すり合わせして上司の知見も引き出しておく必要があります。そのくらいやっておくと、自信も生まれますので、ファシリテーションしやすくなります。
次に大事なのは、事前の仕込みです。会議の場だけで突然皆の意見を引き出し、取りまとめ、衝突を調整し、win-win-winになる解決策に合意するのは至難のわざです。不可能とは言いませんが、ポジションが高くないと、極めてやりづらいことです。
その上で重要なのは、練習です。これについては、ロールプレイングを数度するだけでもずいぶん気が楽になり、おちついてファシリテーションできるようになります。言い換えれば、場数ですね。ただ、これまで自信のない状況、コントロールできない状況で多分10回や20回はされたと思いますが、これは場数にははいりません。毅然とした態度でしっかりと会議のファシリテーションをした場数です。
あと、大事なのは、一人ひとりの発言を丁寧に聞いて、できるだけホワイトボードに書き留めることです。リモート会議ではむずかしいですが、コロナも終息に向かい、対面の会議が主体になっていくと思います。必ず大きなホワイトボードを1台用意し、左上から順次書いていきます。
自分の発言がきちんと書き留められるのを見ると、発言者は比較的前向きな態度で会議に臨んでくれますので、使わない手はありません。
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