和歌山で襲撃された岸田文雄首相が原点に帰って「取り戻す」べきこと

 

15日、岸田文雄首相(65)が選挙の応援で訪れた和歌山市・雑賀崎漁港の演説会場で筒状の物を投げ込まれた事件に驚いた方も多いのではないでしょうか。この事件について「容疑者のやり方は許せない」と怒りをもって語るのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。しかし、北野さんは今回の“暗殺未遂”の件とは別に「岸田総理には国民の怒りを知ってほしい」と、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で語っています。

岸田総理の「胆力」と「体力」には驚き

15日は、本当に驚きました。皆さんも驚かれたことと思います。和歌山市で、岸田総理のすぐそばに爆発物が投げ込まれた件です。

兵庫県川西市に住む職業不詳の木村隆二(24)が、威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕されました。

「威力業務妨害」とは実力行使によって他人の業務を妨害する行為です。「実力行使で岸田総理の業務(演説)を妨害した罪」ということなのでしょう。

しかし、投げ込まれたものは「鉄パイプ爆弾」との報道もあります。そうだとしたら、「暗殺未遂容疑」の方が正しいのではないでしょうか。木村容疑者が何を語るのか、注目したいと思います。

いずれにしても、岸田総理が無事で何よりでした。

事件にも関わらず、総理はその後も予定通り日程をこなしました。事件から1時間後には、すでに和歌山駅前で演説していた。その後、なんと千葉県2か所で演説されています。その「胆力」と「体力」はすごいですね。

岸田総理に知ってほしいこと

安倍元総理が暗殺されたのは、昨年7月8日でした。そして、今回は岸田総理の(おそらく)暗殺未遂事件。

安倍元総理の暗殺にも関わらず、簡単に総理の真横に爆発物を投げ込むことができる。恐ろしいことです。警備体制を抜本的に変える必要があるでしょう。

もう一つ。これは、今回の事件とは、直接関係のない話ですが。

岸田総理、世界情勢の認識は真っ当ですが、日本国内の情勢については、かなり国民とずれている気がします。どういうことでしょうか?

ここ数年の動きを見てみましょう。

まず、2019年、消費税率が8%から10%に引き上げられました。2020年、2021年、新型コロナパンデミック大不況が日本と世界を襲いました。2022年、ウクライナ戦争が引き起こしたインフレが日本と世界を襲いました。日本国民はここ4年間、次から次へと襲いかかる危機に苦しんでいるのです。このことについて、岸田総理は、とても理解が浅いのだと思います。

なぜ、そのことがわかるのか?防衛増税を決めたからです。国民の状況が本当にわかっていたら、増税できるはずがありません。

防衛費増額について、岸田総理によると、約4分の3は「歳出改革」「決済剰余金」「防衛力強化資金」で賄うことができる。残りの約4分の1を増税で賄うそうです。

いや、それなら、「歳出改革」「決済剰余金」「防衛力強化資金」で賄える金額だけ防衛費増額に充てればよいのでは?なぜ、増税して、「消費増税」「パンデミック大不況」「ウクライナ戦争インフレ」で苦しんでいる国民の「息の根を止める」ようなことをするのでしょうか?

この防衛増税の後、岸田総理への不信感は、一気に高まりました。

岸田総理が、「異次元の少子化対策!」という。国民は、「増税したいから異次元の少子化対策をもちだしてきたのでは?」と考える。総理が「花粉症対策を!」といえば、国民は、「花粉症対策を口実に増税するのでは?」と考える。

多くの人々が、「増税するくらいなら、少子化対策も花粉症対策もいらない。何もしなくていいから、増税しないでくれ!」と考えている。

私には、木村隆二容疑者の動機はわかりません。しかし、それとは別に、岸田総理は、

・消費税引き上げ、新型コロナ大不況、ウクライナ戦争インフレで国民はとても苦しんでいる
・この苦しみを理解せず、「防衛増税」を決めた岸田総理に多くの国民は怒っている

この二つを理解しておくことは、日本国の総理大臣として絶対に必要なことです。要するに、「これ以上増税しないでください」ということなのですが。

私は、岸田総理が無傷でとてもよかったと思います。総理の外交を支持します。木村容疑者のやり方は絶対に許せません。

その上で、総理は原点回帰され、もう一度国民の声を、【聞く力】を取り戻していただきたいと思います。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2023年4月16日号より一部抜粋)

image by: Shag 7799 / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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