牛丼の吉野家が定年退職者をトラック運転手として再雇用検討もネット賛否。「いい取り組み」「運転手という職業ナメてる」

2023.04.19
 

牛丼チェーンの「吉野家」が、定年退職した社員を自社の食材配送トラックの運転手として再雇用することを検討していると報じられた。今回の取り組みは、ドライバーの時間外労働などが厳しく規制される「2024年問題」が間近に迫る中での対応策である。既に実証実験を大阪府で実施しており、定年を迎え再雇用された3名の社員が、2トントラックで店舗に食材や備品を届けているとのこと。

「2024年問題」に向けた取り組みだが…

今回の報道は、ネットで賛否が分かれるテーマとなっているようだ。

以前より、深刻なドライバー不足・高齢化が問題となっている運送業界。加えて2024年の1月から時間外労働の上限が960時間に制限される、運送業界の「2024年問題」で、長距離輸送が困難になる等の影響が出ると予想されている。

物流大手の「ヤマト運輸」は、6月から一部地域の時間指定の受け取りを「翌日の午後2時以降」から「翌々日の午前中より全時間帯」に変更すると発表した。これも、2024年問題に備えた動きとみられている。

そんな中での今回の吉野家の対応検討に、ポジティブな意見をあげる人も多い。

一方で、「トラックドライバーという仕事を舐めている」「体が衰える高齢者にトラックの運転手は厳しいと思う」「事故が増えるだけ」「安全面は大丈夫なのか?」といった批判も多数ある。

高齢者の運転操作ミスなどによる事故が多く発生しているのは周知の事実。「なぜ、定年後の人材にトラック運転手という仕事を与えるのか」と不安になるのは当たり前といえるだろう。

定年後にトラック運転手って、大丈夫なの?

車の運転を生業にする人は、常に事故と隣り合わせだと言っても良い。

「ドライバー本人が細心の注意を払うのはもちろん、企業側でも国交省の認可を受け、研修・教育が充実しているケースが一般的ですね」(物流関係者)

吉野家が検討する「自社で配送業をまかなう」ことは良いこととも感じるが、その場合、驚くことに安全教育に関する規定はないそうだ。つまり、充実した教育の機会がない状態で、運転に慣れていない定年後の社員がドライバーになることも考えられる。事故を起こすリスクが、長年トラックドライバーに従事する人よりも上がる可能性は高いはずだ。

しかし、「教育環境が整っている企業でも、ドライバーに必要な体力や視力が衰えた人材を運転手として雇用することは珍しくない」と、前出の関係者は言う。

そこには、ドライバー志望の若者が減っている現実が大きく関係しているようだ。

「道路交通法が変わり、2022年5月から19歳以上(普通免許等と準中型免許の保有歴が1年以上)の人が大型免許と中型免許を取得できることになりましたけど、高校を卒業するタイミングで取ることはできないのが、若い人がトラックの運転手を志さないネックになっているかもしれませんね。でも、Amazon等の普及で働く人材は間違いなく必要なので…。年齢が高い人でも欲しいという会社が多いのが現実です」(前出の物流関係者)

「死ぬまで働く」が現実になりつつある今の日本。定年を迎えた人材の雇用創出は不可欠だし「2024年問題」への対策も急務と言えるだろう。だが、その場しのぎ的な対応ではいつかボロが出ることも。業界の課題となっている「若い人材の確保」への対策が、まずは必要なのかもしれない。

 

image by: Nor Gal/Shutterstock.com

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