就業中の「喫煙」時間分を賃金から差し引くのは問題ナシ?現役の社労士が解説

close up hand businessman two person cigarettes for smoking stand in the smoking zone area.
 

では、就業時間中の喫煙について賃金控除を行う場合はどうでしょう。

喫煙によって業務から離れている時間について、その時間分の賃金を控除するのは問題ありません。しかし、喫煙の合計時間が10分であったにもかかわらず、15分の賃金を控除するといった扱いはできません。これでは、5分ぶんの賃金未払いが生じます。逆に、喫煙時間が15分であったにもかかわらず、10分の賃金しか控除しないのであれば、それは問題ありません。

実務上は、それぞれの労働者の喫煙時間をいちいち計っていられないでしょうから、一律の時間分を喫煙時間とし、その分の賃金控除を行うといった扱いをしている会社が多いのではないかと思います。その場合には、実際の喫煙時間を超えないような時間に定めなければ、賃金未払いの問題が生じ得ますので注意が必要です。

また、喫煙時間にこのような扱いを始めると、労働者からは、「たとえ1分でも、残業した分の残業代をきちんと支払え」といったような声が上がることがあります。先にも述べたように、賃金は、労働時間1分単位で支払うことが原則ですから、この労働者が言っていることは尤もなのですが、あまり厳密にやりすぎると、職場がギスギスすることもあります。そのあたりの取扱いが非常に難しいですね。

個人的には、就業時間中の喫煙は禁止する扱いの方がおさまりが良いと思っています。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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