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ジョブ型雇用の信奉は危険。コンサルが「会社は社員を育てる場」と言うワケ

近年、導入する企業が増えている「ジョブ型雇用」は即戦力を採用できる確率が上がるため、多くの経営者からウケが良いと聞きます。しかし、今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは、「人を育てなければ会社は成長しない」と力説しています。

社員を教育する必要はない

1.ジョブ型雇用

「会社は人材育成の場ではない」とおっしゃる経営者に会いました。「職に見合ったスキルを自ら身につけるのが本来の姿」だということです。

あなたは、この意見をどう思いますか。この経営者の考え方は、今風なのかもしれません。

近ごろでは「ジョブ型雇用」が叫ばれています。ジョブ型雇用とは、「人を採用するとき、職務内容を明確に定義して雇用契約を結び、職務や役割で評価する雇用システム」のことです。

日本でも、ジョブ型を採用する企業も増えてきました。ジョブ型では、職務に人がつけられます。ですから、従業員は職務に応じたスキルを持っていることが必要です。先の経営者は、ジョブ型雇用を信奉しているに違いありません。

しかし、私は「会社は人材育成の場ではない」という言葉に、賛成しかねます。やはり、人を育てなければ、会社は成長しません。

それに、「職務」を定義したとしても、その職務をこなせる人を、そんなに簡単に採用できるとも思えません。特に、社会経験の浅い社員には、教育が必要だと思います。

例えば、入社時に営業や販売のスキルやマーケティングノウハウを、持っている人は少ないでしょう。メーカーさんにおける、生産のスキルも同じです。現場で教育しなければ、スキルは身につきません。

2.経営者の責任

これらのスキルを、従業員が独自に学ぶことは難しいのではないでしょうか。ですから、会社には人を育てる役目があるのです。その役目を放棄してはいけません。

若い社員ばかりではありません。中堅社員にも、幹部社員にも、教育の機会は必要です。

教育の方法はいろいろあります。社員を外部研修に参加させて、成長につなげるのも一つの方法です。しかし、それよりも、もっと効果的な方法があります。それは、経営者自らが教師となって、教育することです。

実際に、「経営塾」のような形で、経営者が指導をする大企業もあります。実に人材育成に熱心な会社です。そんな会社が伸びないはずがありません。

そして、あなたも経営者です。人を育てる責任があります。

最初から優秀な社員が入ることは少ないはずです。仮に、スキルを持った人が入社したとしましょう。そのスキルは、本当に会社に役に立つとばかりは言えません。結果的に、会社に必要なスキルを持っていなかったことになります。ですから、必ずしも転職がうまく行くとは限らないのです。

3.人材育成

これは、スキルばかりではありません。人には、それぞれの人生観や人間性というものがあります。職務に合ったスキルを持っていたとしても、その人の人生観や人間性が、職場にマッチするとは限りません。ですから、経営者自らが教師となって、社員に自分の考え方を伝える必要があります。まさに、これが人材育成です。

経営者は教育者でなくてはいけません。そのため、自分の時間を社員に投資をすることです。

その中で、自分の人生観や哲学を語る必要があります。会社の目指しているところ、経営者として成し遂げたいことも伝えなければいけません。これが、人材育成の最初です。

そのうえで、次のようなことを教えてはいかがでしょう。

・経営に対する考え方
・人としてのあり方
・経営者としてとらえる社会の変化
・自社にとってチャンスとなる社会の変化
・影響を受けた経営者と、その言葉
・歴史から学ぶこと
・組織の動かし方
・望ましいリーダーシップの発揮法
・利益を最大限にする方法

改めて言います。会社は人材育成の場です。あなたのお店も同じです。しかし、そこに費用をかける必要はありません。熱意をもって、時間をかければ良いです。優秀な人材が育ってこそ、会社は成長します。

■今日のツボ■

・ジョブ型雇用が拡がると、会社は人材育成に熱心でなくなる
・人材育成をしてこそ、会社は成長する
・人材育成の一番の責任は、経営者にある

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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