年齢を重ねるごとに確実に衰えてくる記憶力。不思議なもので昔のことよりもつい最近の出来事ほどすぐ忘れてしまうもの。そのうち、冷蔵庫を開けたのに何を取り出そうとしていたのか忘れるなんてことも頻発するようになります。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、そんな失われやすい記憶の定着や強化をスマホアプリによって促進できるのか調べた最新の研究を紹介。気になる結果を伝えています。
スマートフォンアプリを用いて記憶の想起が容易になるかもしれない
記憶のうちでも、日常生活における様々な出来事に関する記憶が思い出せないこと(エピソード記憶の障害)が現実世界において大きな影響を与えると考えられます。
今回は検査で行われるような記憶ではなく、現実世界における様々な記憶を強化するスマートフォンアプリを用いて、どのような効果を認めるのか調べた研究をご紹介します。
現実世界の記憶を強化・促進するスマートフォンによる介入
● A smartphone intervention that enhances real-world memory and promotes differentiation of hippocampal activity in older adults
実験は2つあり、1つについては参加者22人(平均69.64歳、16人が女性)でHippoCamera(海馬カメラ)というアプリを用いて、日常生活を1日5つ記録して後から再生することにより、記憶の強化を図りました。
結果として、以下の内容が示されました。
- このアプリを使う習慣は、高齢者の日常生活に簡単に定着しました
- 日常生活にまつわる出来事や、その時の感情の想起が容易になりました
- 以上のような効果は、介入から3か月後も持続していました
要約:『スマートフォンアプリを用いた介入で実生活の記憶の想起が容易になる可能性がある』
スマートフォンアプリの画面を見てみると、操作も簡単そうで使ってみたくなる内容だと感じました。
image by: Shutterstock.com