ブリンケン国務長官の訪問前から温度差。中国の反応が冷淡なワケ

 

中国側のこうした反応の裏側にあるのは、バイデン政権に対する根深い不信感だ。ブリンケンの到着に先立ちジョー・バイデン大統領は「数カ月以内に会談できることを望んでいる」と述べたと伝えられた。しかし、たとえ7回目の首脳会談が実現しても、冷え込む米中関係を直ちに好転させると楽観できる材料など皆無なのだ。

理由は簡単だ。中国はいま、アメリカ側が言葉で何を発信し、どんな約束を結んだとしても、彼らがそれを実行に移す可能性は低いと考えているからだ。いわゆる中国が繰り返してきた「言行不一致」である。

事実、ブリンケンが北京を訪れようとする直前、ジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)がインドを訪問。そこで「中国への懸念」について2国間で話し合ったという。中国の目にこれは、対中包囲網の形成にインドを引き入れる動きと映るはずだ。

米中首脳は過去、電話会談を含めて6回の会談を行ってきた。「バリ島での首脳会談の準備のためだけでも、中国側は米側のカウンターパートと8回、計24時間以上に及ぶ打ち合わせを行った」(謝鋒駐米大使)という。

それでバイデン大統領から引き出された言葉は「安定し、発展する中国は米国と世界の利益にかなう」「米国は中国の体制を尊重し、中国の体制変換を求めず、『新冷戦』を求めず、対中国のための同盟関係の強化を図らず、『台湾独立』を支持せず、『二つの中国』『一つの中国、一つの台湾』も支持せず、中国と衝突を起こす意図も、中国との『デカップリング』を図る意図も、中国の経済発展を妨害する意図も、中国を封じ込める意図もない」だった。

膨大なエネルギーを突き込んで実現した首脳会談の成果だが、その後、この約束は守られたのだろうか──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年6月18日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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