公然とロシア軍幹部への批判発言を繰り返していた、民間軍事会社ワグナーの創始者プリゴジン氏。6月23日、ついに武装蜂起を宣言するもわずか1日で兵を退く結果となりました。ロシア国内で今、何が起きているのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ウクライナ戦争の最新の戦況と、プリゴジン氏によるクーデターの一部始終を紹介。その上で、プーチン政権の「寿命」とこの戦争の行方を予測しています。
ウクライナ軍が苦戦、ロシアはクーデターの季節。戦争はもうすぐ終わるのか?
ウ軍は、本格的な攻勢のフェーズに入ったが、バフムト、ドネツク州西部、ザポリージャ州で前進できず、前哨ロ軍陣地を抜けていない。このままであると、ロ軍防衛線にも達しないで停滞すると、占領地のロシア化が進む可能性もある。
これを防ぐには、ある程度の速度での反撃が必要であるが、現状は前進できないである。この現状をどう見るかだ。
クピャンスク・クレミンナ方面
ロ軍は、ザポリージャ州での停滞で、余裕が出てきて、クレミンナやクピャンスクで、攻勢をかけ始めた。ウ軍の攻撃が弱いことで、ロ軍の攻撃戦力が捻出できたような形である。
クピャンスク方面では、シンキフカやビルシャナ付近で、ロ軍が攻撃で、ウ軍は防戦しているが、押されている。ロ軍の大部隊が攻撃しいているようである。ウ軍の増援をこちらに向かわせようとしている。
クレミンナ方面では、ディブロバ近郊にロ軍が攻撃して、ウ軍陣地の一部を奪っている。ここでも砲撃と空爆が開戦以来初めての規模であり、すごいとウ軍中隊長が述べている。その他にセレブリャンスクの森にもロ軍は攻撃しているが、こちらは撃退された。
この攻撃では、囚人兵主体のストームZ突撃隊を使ったが、壊滅的な損害を出している。バフムトではストームZ突撃隊を解散したが、クレミンア方面では使っているようだ。しかし、壊滅した可能性もある。
この方面でのロ軍の大規模攻勢をウ軍が止めることができるか、どうかも焦点の1つになったようである。ここのロ軍はロシア領土から近く補給に問題がなく、攻撃しやすいことがある。
ロ軍の物量に、ウ軍の質が勝てるかどうかでしょうね。
バフムト方面
ウ軍はバフムト北西郊外で、M03号線をヘルソン州からの最強ロ軍増援部隊でウ軍から取り戻しているが、この最強ロ軍空挺部隊は、国内治安維持に回されたようであり、ロ軍はバフムトで攻撃しなくなった。ウ軍は、M03号線近くまで攻撃し奪還した。
ウ軍は、トボボバシュリフカ、ベルキウカやヤヒドネ、市内南で攻撃している。ウ軍への抵抗が大きく和らいだようである。ロシア国内でクーデターが起き、バフムトの最強部隊がいなくなったことによる。
バフムト南西のウ軍独立第24突撃大隊と第3突撃旅団はクリシチウカ方向に攻撃しているが、まだクリシチウカを占領できずにいる。
ウ軍はクデュミウカの西側で反撃して、運河の西側からロ軍を排除した。
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