ロシアの状況
プリゴジンは「ロ軍はザポリージャとヘルソンの前線で後退している。ウ軍はロ軍を押し返している」とした。プーチンは最近「ウ軍は壊滅的な損失を受け、戦闘は小康状態になっている」と発言して、プリゴジンの発言とは相反するものになっている。
また、プリゴジンは「2月24日に起きたことは日常茶飯事にすぎない。国防省は国民と大統領を欺こうとし、ウクライナからとんでもない侵攻があり、北大西洋条約機構(NATO)全体でロシアを攻撃することを計画していると説明していた」という。
さらに「戦争はショイグ国防相が元帥に昇格するために必要だった。ウクライナを非武装化し、非ナチ化するためには必要ではなかった」と強調した。
そして、プリゴジンは、戦争ではロシアで最も有能とされる部隊を含む何万人もの若い命が不必要に犠牲になったとし、「われわれは自らの血を浴びている。時間は過ぎ去っていくばかりだ」また、「我々はウクライナの占領地を多数失っている。死傷者数はロ軍が発表している数の3~4倍だ。1日に最大1,000人が死傷している。」とも述べている。
プリゴジンは、この戦争を止めようとしているように見える。そうしないとロシアの滅亡に繋がるとみているようである。
この認識を持っていないプーチンでは、戦争をやめることができないし、取り巻きも本当の戦争の状況を言えないようである。プーチンが自分に都合の悪い情報が出てくると、怒ることで、誰も本当の情報を上げることができないからだ。
このため、とうとう、ロシアの情報機関「連邦保安庁」(FSB)は23日、ワグナー軍の創設者エフゲニー・プリゴジンの発言が、武装反乱の扇動に該当する疑いがあるとした。
そして、FSB部隊がワグナー軍部隊の拠点をミサイル攻撃し、多くの隊員が死亡したことで、プリゴジンは、「この国の軍上層部がもたらす害悪は制止されなければいけない」と、クーデターを始める。
そして、モスクワでは、戦車などが配備されて国家機関等重要施設の警備が強化され、モスクワで「要塞」計画が実行されいる。警察と救急隊員が集結しているが、ワグナー軍阻止の指令を受けたFSB治安部隊の半数は戦闘を拒否している。
プーチンは「いかなる国内混乱も我が国の国家としての致命的な脅威となる。私たちの行動は厳しいものになるだろう。意図的に裏切りの道に進み、武装反乱を準備した者は皆、避けられない懲罰を受けるだろう。軍と他の治安機関は必要な命令を受けている」と述べ、完全にプリゴジンを切り捨てた。
これに対して、ワグナー軍報道は、「ゴミ(プーチン)は間違った選択をした。それは彼にとってさらに悪いことだ。間もなく新しい大統領が誕生するだろう」と、現状認識ができないプーチンを揶揄したが、これで内戦が確定した。
しかし、ウ軍の攻勢が続く中でロ軍は、防御戦闘で一定の戦果を出してきたが、プーチンの内戦確定で、作戦の前提が変わる。ザポリージャ州の防衛線を現状のまま維持しながら、ワグナー軍に対して攻勢をとることは、軍事的に不可能だ。
このため、ロ政府は、反乱鎮圧のため十分な兵力が割けず、カザフスタンに軍の派遣を要請した所「露の内政問題である」として拒否された。
そのため、プーチンは、国内の治安回復を優先して、高練度のロ軍空挺部隊を抽出することになった。
最初、ワグナー軍は、ウクライナにいたが、ノヴォシャフチンスカヤ国境検問所を越えたが、FSB国境警備隊は、この国境検問所に、ワグナー軍の隊列を通過させるよう命じた。
そして、ロシアに入り、ロストフ・ナ・ドヌーでの最初の攻撃が起こり、ワグナー軍兵力は2万5,000人である。
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